家電量販店の老舗、第一家庭電器が16日に民事再生法の適用を申請し倒産した。郊外型の大規模店を展開する新興勢力に太刀打ちできなかったことが最大の要因。1970年代には業界トップの売上高を上げ、家電量販店の代表的存在だった同社の倒産は、新旧交代を強く印象付けた。今後も業界内の優勝劣敗が一段と明確化し、再編淘汰が加速するのは必至だ。
第一家電は1947年の創業で、71年から6年間、業界トップの売上高を誇った。90年代に入ると、今年2月期まで11年連続で最終赤字を計上し、この2年間は債務超過が続いていた。
16日に記者会見した国分忠男社長は「店舗閉鎖や人員削減など後ろ向きの対策しかできず、新興勢力に対抗できなかった」と、唇をかんだ。
同社が経営を悪化させた時期は、ともに北関東に拠点を置くコジマ(宇都宮市)とヤマダ電機(前橋市)が安売りと店舗拡大で激しくしのぎを削り、急成長した時期とピタリと重なる。
「新興勢力の台頭で、家電量販店の大型化、郊外化が急速に進展した。今や店舗面積は3000平方メートルから5000平方メートル、数百台規模の大駐車場を持つ店舗が主流になっている。これに対し、第一家電は立地が駅前や商店街中心で、店舗面積は500平方メートル以下で駐車場もなし。量販店としての競争力を完全に失っていた」(流通担当アナリスト)
東京・秋葉原や大阪・日本橋の電気街では、郊外型の新興勢力に対抗し、パソコンや携帯電話などの販売が主流となったが、「他店に比べ、情報機器の品ぞろえや価格面でも遅れをとっていた」(業界関係者)ことも致命傷となったようだ。
同社の倒産は、金融庁が今月12日に大手銀行に対する特別検査の結果を発表して以来、初の上場企業の倒産となった。特別検査で弾かれた問題企業の処理を迫られる大手銀には、明らかな負け組み企業を支える余力はどこにもない。
「競争激化で勝ち組・負け組が鮮明となっている家電量販店の淘汰が一段と進むのは確実」(民間信用調査機関)といえそうだ。