速水日銀総裁は、悪い貸出先への金利を上げるのは、金融機関にとって自然の政策だと述べた。
衆院財務金融委員会で中塚一宏委員(自由)の質問に答えたもの。
日銀がゼロ金利を続けるなかで、企業向けの貸出金利が上昇している点について、総裁は、「マクロの経済で、流動性の供給を潤沢に行うことが構造改革を行うためにも必要だ。構造改革が進み、民間需要が出てくることを後押しするためには、それだけの資金が必要だということで量的緩和を続けている」と述べた。一方で、貸出金利については、「信用仲介機能を果たすべく、良いところにはどんどん貸す、悪いところには金利を上げるのは、銀行が収益を増やすには自然の政策だと思う」との考えを示した。
総裁は、不良債権化の懸念から新しい貸出が出ない点を指摘し、「不良貸出をなくし、新しい貸出を増やし、収益を増やすことが良い循環につながる」と述べた。
自民党の一部から、日銀法改正の声が出ていることについて、総裁は、「現行日銀法は、21世紀の金融システムの中核に相応しい中央銀行制度を構築していてくれる。主要先進国と比べてもそん色のない、立派な中央銀行制度を作ってもらったと思っている」と述べた。そのうえで、「現行の日銀法に盛り込まれた中央銀行の理念を実現すべく、引き続き、職務の遂行に全力を尽くしたい」と語った。