大手12行が、02年3月期に一般企業との持ち合い株を5兆円以上売却したことが17日、明らかになった。売却額は、過去最高となる。大手行は、04年9月期までに保有株式額を自己資本以下にしなければならない規制を課されているため、今後2年半で5兆円を超す売却を進める見通しで、持ち直し気味の株式相場の下押し圧力になるのは確実だ。
4大グループでは、UFJグループが1兆2000億円、三菱東京フィナンシャル・グループが9000億円弱、みずほグループの3行(現在は2行)が8000億円、三井住友銀行が6000億円の約3兆5000億円を売却した。大和、あさひ銀行などを加えると、約5兆650億円が売却されたことになる。
大手行は、01年3月期に約3兆1170億円の持ち合い株を解消したが、これを大幅に上回った。
株価の変動が金融システムの根幹を揺るがしかねないことから、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」で、銀行の株式保有額を04年9月期までに自己資本の範囲内とする上限規制が、昨年秋に導入されている。このため、大手行は03年3月期も持ち合い株の売却を急ぐ方針。
東京株式市場では、2月後半以降に、銀行以外の一般企業の株価が回復したため、銀行の保有株の含み損が減少した一方で、持ち合い株により銀行株を多数持つ一般企業は銀行株の大幅な下落で、含み損が拡大。本業のもうけも銀行株下落のせいで吹き飛ぶ構図となっている。今後、企業側も銀行株の売却に動く見通しで、株式市場にとって一層のマイナス要因になりそうだ。【藤好陽太郎】