石油公団を廃止する関連法案をめぐり、経済産業省と政府・自民党の調整が難航している。小泉首相は16日、平沼赳夫経産相に「公団廃止を決めた昨年末の閣議決定に沿って調整するよう」指示したが、経産省は修正に応じる考えはない。特殊法人改革の先陣となる石油公団改革でつまずけば、道路公団など後続の案件が「ドミノ倒しになる」(堀内光雄・自民党総務会長)との懸念があり、小泉改革の行方に影響を与えそうだ。
石油公団問題の火付け役の堀内氏は、巨額の損失を生んだ公団を実質的に廃止すべきだとの立場。公団資産を処分し、後継組織の特殊会社は資産管理や処分業務に専念すべきだと強調する。
一方、法案をまとめた経産省は公団の民営化に重点を置く。優良な開発会社の株式を残し、「和製メジャー」に育てることが狙いだ。
法案では、公団資産の処分は経産相の諮問機関の下に設ける有識者委員会の答申を受けて経産相が基本方針を決め、公団が実行する。これでは、経産省と公団の「お手盛り」になりかねないため、堀内氏は、資産は公団ではなく新設の清算法人が処理すべきだと主張している。
公団の業務を一部引き継ぐ独立行政法人から石油開発への資金供給について、経産省は「日本の民間企業は債務保証がなければ資金調達できない。堀内氏も了解したはず」(経産相)というが、堀内氏は、債務保証が続いては巨額損失を生んだ構図が変わらないとの考えだ。
福田康夫官房長官は16日の記者会見で「経産省案はイメージするところが(閣議決定と)違っているかもしれん」と再考を促した。
関係省庁や族議員らの意向に配慮した玉虫色の決着のツケが、改革を具体化する段階で表面化した格好だ。廃止される特殊法人を抱える各省庁は問題の行方を見守っている。「(法案を)上から読んでも下から読んでも閣議決定の線に乗っていなければならない」(石原伸晃行革担当相)という結論になるかどうか。特殊法人改革の試金石といえそうだ。(08:58)