塩川正十郎財務相は16日夜、NHKのニュース番組のインタビューで、深刻なシステム障害を起こしたみずほホールディングスについて、「どちらかが吸収するという合併でなければ駄目だ。対等合併なんてあり得ない」と指摘、「企業でも役所でも司令塔がはっきりしないと秩序が保たれないし、責任の所在がはっきりしない」と述べ、かつての第一勧業銀行、日本興業銀行、富士銀行の3行による合併の在り方に構造的な問題があったとの見解を示した。
同相は、吸収で合併したほかの銀行は「しっかりした経営をしている」と述べ、「ホールディングカンパニーとか、ちょっとしゃれたモダンなことをやったところは全部駄目」と決めつけた。そのうえで、旧3行の最高経営責任者(CEO)やみずほHDの社長らについて「あの人たちがこれだけの事故を起こしたことに責任を感じてくれないと困る。ちょっとモラルハザード(企業倫理の欠如)だ」と指摘した。
「改造発言」は現閣僚の引き締め
同相は景気対策として秋に補正予算を組む考えについては、「10年やってきてその効果はどうだったか分かっているのではないか。3兆、5兆という財政出動と言ってみても何になるか」と従来型の補正には否定的な考えを示した。そのうえで、企業の研究開発促進のための税制優遇や、「都市改造」のための規制緩和に思い切った措置を講じたいとの考えを示した。
一方、小泉純一郎首相が先に国会明け以降の内閣改造に含みをもたせた発言をしたことに関しては、「適材適所を評価するぞという意味が込められているのではないか。あの発言によって現内閣の行政評価、能力評価というか、貢献度を一回評価するぞ、という意思表示だと受け止めている」と述べ、現閣僚を引き締める狙いがあったとの見方を明らかにした。同相は「(首相は改造を)やるとは言っていない。そこは味のあるところだ」と述べた。