みずほグループの大規模システム障害問題で、3月末まで旧富士銀行頭取と持ち株会社みずほホールディングス最高経営責任者(CEO)を務めていた全国銀行協会の山本恵朗会長(みずほグループ特別顧問)と、みずほホールディングスの前田晃伸社長が、16日の参院金融財政委員会に参考人招致され、システムの完全復旧が5月にずれ込む見通しであることが明らかになった。前富士銀行頭取として統合を主導した山本氏と前田社長の経営責任については、具体的な言及はなかった。
前田社長は、あらためて謝罪したうえで、約40万件の口座振替の積み残しについては今週中に処理するとした。
システムの安定運用については、「完全に従来通りとなるには、しばらく時間がかかる。今月25日から30日が(処理量の)ピークであり、全力を挙げて復旧に努めたい」と説明した。
完全復旧の時期について聞かれた柳沢伯夫・金融担当相は「『五・十日(ごとうび)』とか月初めとか、決済が多い日を無事に処理できるかどうか見てみないと、正常化というのは躊躇(ちゅうちょ)する」と指摘、復旧宣言は5月に入ってからになるとの見通しを示した。
また、金融庁の立ち入り検査などでシステムリスクへの不安を指摘されていながら、統合に踏み切ったことについて前田社長は、「すべての部分がテスト通りいったので移行を決定した。このとき外部接続も完璧(かんぺき)にテストが終わっていた」「約2000億円のカネと、1カ月に9万人をかけており、乱暴なことをやったつもりはない」として、判断に問題がなかったことを強調した。
経営責任について、前田社長は「完全復旧した段階で、私を含めて責任の所在を明確にしたうえで、しかるべく処置をしたい」とこれまでの主張を繰り返した。山本氏は「私もみずほの準備段階の責任者として金融システムの信頼を損ねたことに責任を感じている。ご迷惑をお掛けしたことを深くおわびしたい」と陳謝するにとどめ、具体的な責任の取り方には触れなかった。
◆特別顧問3氏辞任へ
山本氏は同日の全銀協会見で、西村正雄・前日本興業銀行頭取、杉田力之・前第一勧業銀行頭取を含めた3人が、みずほグループの特別顧問を退任することを表明する見通し。
みずほの口座振替の遅れをめぐっては、15日時点で東京電力への電気料金の未入額が計約52億円にも達することが判明。東電側は損害賠償を含めた対応を検討している。このほか、企業に対する取引結果の未通知も250万件ほどに達しているとみられ、“安全宣言”にはほど遠いのが実情だ。