森金融庁長官は、大手銀行に対する特別検査の結果などを踏まえて、大手行は自己資本比率の健全性基準をはるかに上回っているとして、現時点で公的資金の注入は必要ない、と述べた。
定例会見で述べたもの。
森長官は、特別検査を踏まえた大手銀行の2002年3月期の不良債権処理に関連して、「ある意味で、たいへん厳しい自己査定をして、現時点でのウミは出し切ったと思っている」と述べた。その上で、不良債権問題の正常化に向け、「一刻も早く不良債権処分損を業務純益の範囲内に納めなければならない」と語った。さらに、大手行の前期末の単体自己資本比率が、国際基準行は10%台前半から11%台半ば、国内基準行は8%台前半から10%台半ばの見通しとなったことを受け、「健全性基準をはるかに上回っている状況に現在ある。現時点での公的資金の注入は必要ないのではないか」と述べた。
また、森長官は、4月1日以降、システム障害による混乱が続いているみずほフィナンシャルグループ<8305>で、1日より前の段階で、グループ内でその後に起きる事務処理の遅れを見越していた、などとする報道に関連して、「さらに実態の解明が必要だと思っている。4月10日の(みずほ側の)報告を中間報告として、3月30、31日はどういう状況だったのか、1日のトラブルはどういう内容だったのか、原因は何だったのか、銀行の対応はどうだったのか、再発防止策は何を考えているのか、ということについて、追加報告で厳しく報告を求め、実態を解明して監督上の対応を考えたい」と語った。