総務省は、郵政事業庁が衣替えして来春発足する「日本郵政公社」の人事について、同省幹部から公社役員に転じた場合は役所に戻さない「ノーリターン・ルール」を導入することを決めた。新公社の経営に責任を持つ役員が、総務省で公社を監督する立場に戻るのでは公正さが保てない恐れがあると判断した。郵便全面開放に伴って新規参入する民間企業への許認可権を、公社と一心同体の総務省が握るのは問題がある、との批判にこたえる狙いもある。
新公社の役員は、総裁、副総裁、十数人の理事と監事で構成する。総裁は民間から起用することを検討しており、数人は社外役員にする予定。残りのほとんどの役員は総務省・郵政事業庁の局長や審議官クラスから「片道切符」で移籍する。
約29万人の一般職員については「公社との間で人事交流を遮断すると、総務省に郵政監督行政ができる人材が育たなくなる」(総務省幹部)として人事交流を続ける。