塩川財務相は、きょう午後開かれた政府税制調査会基礎問題小委員会に出席し、抜本税制改正議論の財源問題に関連し、プライマリーバランスの黒字化を目指す2010年までの財政中立の考え方を示した。
石会長が終了後の記者会見で明らかにした。
石会長によると、きょうの会合でも、経済活性化と投資減税の扱いについて活発な議論が行われた後、会議に出席した塩川財務相から、中期的な財政中立の考え方が示された、という。同相は、減税財源もなく、単に財政赤字を膨らませることが問題だとの観点から、財政節度を踏まえたうえで、仮に減税を先行しても、財源を伴ったうえでの措置として、財政の入と出の中立を主張した、という。さらに同相は、「2010年までにプライマリーバランスを均衡・黒字化することを目標とするならば、2010年ぐらいまでを最初の期間とし、その間に財政のバランスを考え、入(減税財源)と出(減税)のバランスを考えるべきだ。財源としては、自然増収、増税もあるだろうが、そのバランスを考えてほしい」との発言があった、という。
中期的な財政中立の考え方について、石会長は、3年後の消費税率引き上げを担保に減税を先行させた村山内閣の手法と同じで、考え方としては従来からある、としたうえで、「現実に減税財源を探すのは難しい。1年限りの歳出カットは恒久的な財源とならず、やるなら、村山内閣のような担保するものがないと難しい。今の段階では、何が減税財源となるのか、まだわからない。推移をみながら(政府税調で)議論したい」と述べた。
短期的なデフレ対策として減税を先行させる考え方について石会長は、「減税するなら財源が必要だ。財政の節度を失わせ、長期金利上昇も実際に心配されている。政府税調としては慎重だ」と、あらためて否定的な考えを示した。
焦点の研究開発など投資減税については、マクロ的に需要喚起につながるのかその意味を疑問視する意見と、ボディーブロー的に効いてくるとの両論があリ{税調としての意見集約には至っていない、という。
来週は、16日に、配偶者控除など、所得税の具体的な控除項目や土地税制について、19日には年金課税について検討を行う予定。