【ジュネーブ=清水真人】日本、欧州連合(EU)など6カ国・地域は12日、米国による鉄鋼製品の緊急輸入制限(セーフガード)を強く非難する異例の共同声明を発表した。世界貿易機関(WTO)提訴手続きの第一段階として2日間にわたって進めていた米国との当事者間協議が不調に終わったためだ。
声明には米国を提訴した日本、EU、韓国、中国、スイス、ノルウェーの六者が名前を連ねた。紛争処理小委員会(パネル)の設置を求め、司法的決着を目指す。
声明は米国との当事者協議について「WTO協定違反のセーフガードをただちに終結するよう要求した」と強調。WTOルールに従い、提訴から60日以内に米国が歩み寄りを見せない場合は「パネル設置要求に移行する」と明記した。
通商筋によると今回の協議で米国はセーフガードはWTO協定上、正当とする主張を繰り返し、妥協する気配を全く見せなかった。パネル審理での「法廷戦術」を念頭に置き、米国の立場を詳しく説明するのを避ける場面も目立ったと言う。