金融庁の高木監督局長は、主要銀行の特別検査による不良債権処分損1.9兆円のうち、約1.5兆円は、昨年11月の業績予想で織り込まれていた、と述べた。
記者会見で述べたもの。
高木監督局長は、ヒアリングの結果で、厳密には把握していない、とした上で、「特別検査で(不良債権処分損が)1.9兆円増えた。(昨年11月に主要行が2002年3月期の不良債権処理額と見込んだ)6.4兆円の中にだいたい1.5兆円ぐらい入っている」と述べた。その上で、昨年11月時点で、かなり織り込まれていた、との認識を示した。
また、特別検査の結果について、五味検査局長は、原則としてメーンバンクのベースで検証した、と説明。その上で、特別検査の対象企業149社に対する与信額12兆9000億円には、準メーン以下の主要行の与信額は含まれていない、と述べた。さらに、特別検査による不良債権処分損1兆9000億円のうち、1兆7000億円を占めた4業種(建設、不動産、卸小売、その他金融)の卸小売には、総合商社が含まれていることを明らかにした。
一方、五味局長は、金融庁が12日に発表した「より強固な金融システムの構築に向けた施策」に盛り込まれた”主要銀行グループ通年・専担検査の導入”について、新しい事務年度となる今年7月からの導入を予定している、と表明。なお、中央三井信託銀行と住友信託銀行<8403>については、どの金融グループの検査チームが担当するかを検討する意向を示した。
さらに、原口総務企画局長は、新施策が打ち出した金融機関の合併促進で、主として地域金融機関を念頭におく、と表現していることに関連して、”対象は第二地銀くらいまでか”との質問を受け、「大きな定義をしているわけではなく、主要行のところは、かなり再編が進んでいるということで、第二地銀以下と限定しているわけではない」と語った。