経営破たんにつながる可能性のある自社の経営情報を、上場企業が財務諸表に明示することになった。日本公認会計士協会が企業への会計監査を通じて事実上義務付ける。急激な収益悪化など過去の情報だけでなく、社債償還の資金手当てが難しいといった将来のリスクも明示する必要がある。2003年3月期決算から実施する。
金融庁の企業会計審議会が1月に監査基準を全面改正。企業の存続にかかわる重要情報をわかりやすく開示する方針を盛り込んだのを受け、会計士協会が実務指針の草案を作った。
指針によると、取引先や銀行との重大な関係変化にも公表義務が生じる。仕入れ先からの現金決済の要請や、銀行からの新規融資の拒否などが対象となる。
決算期明け後1年間に発生する恐れがある将来リスクも公表の必要がある。社債の償還資金の手当てができず、取引銀行に融資を要請中といった外部からわかりにくい資金繰り情報を具体的に記載しなければならない。