【ニューヨーク=梶原誠】
ニューヨーク州司法当局は企業業績を分析し株価形成に大きな影響力をもつ証券会社のアナリストの中立性に疑問があると見て、ウォール街の大手証券の一斉調査に乗り出した。顧客企業との関係強化を狙う社内の投資銀行部門に配慮し、投資判断を甘くしている疑いが出ている。同州の調査はすでにメリルリンチを対象に進んでいることが知られている。同州の司法長官室は10日、日本経済新聞の取材に対し「主な証券会社を調査しており、進展次第、全容を公表する」と説明した。
ウォールストリート・ジャーナル紙などの報道では、調査対象はモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、ソロモン・スミス・バーニーなどを含む。メリルの調査については同州司法当局が約10カ月間の調査を踏まえ、州地裁にメリルに対し改善命令を出すよう申し立て、地裁は8日、メリルに投資家向けリポートに顧客企業との取引関係を盛り込むよう命じた。