「任期満了まであと一年。行内では、またしても速水優日銀総裁の更迭が噂されています」と声を潜めるのは日銀関係者。
すでに年中行事と化した感すらある更迭論だが、今回はかなり現実味を帯びているという。
日銀関係者が続ける。
「更迭の時期はズバリこの秋。総裁人事の根回しが始動するのは、任命の半年前です。以前から本命と目されている人物に、新たな名前も加わった」
まず本命の人々とは誰か。
「大本命は、大蔵・日銀接待汚職事件で引責辞任した福井俊彦前日銀副総裁。その後、富士通総研理事長と経済同友会副代表幹事を務めていますが、禊が済んだと解釈すれば、固いセンです。続いて、《仰天人事》とも言われますが、行天豊雄元大蔵財務官。そして現横浜銀行頭取の平沢貞昭元大蔵事務次官です」(日銀担当記者)
ただ、「日銀・大蔵」というタスキ掛け人事ができるほど、現在の財務省にカはないという。
で、新たに加わった名前は、まず田中直毅氏。
「小泉総理お得意の民間登用ということで、経済評論家の田中氏の名前はよく小耳にはさみます。彼は小泉内閣の私的諮問機関の座長もやっていて、小泉さんとは昵懇の仲」(前出・記者)
もう一人があの堺星太一氏。
「彼は小渕内閣と森内閣で、経企庁長官に登用され、橋本派に近い。堺屋氏の名前が挙がるところに、小泉総理の覇権の弱体化を見るべきでしょう。小泉そっちのけで橋本派が跳梁跋扈し始めたんですよ」(同前)
前出・日銀関係者が言う。
「権力間では任期満了を阻んでやるというジェラシーが極めて強いのです。未遂に終わりましたが、以前にも、前川春雄総裁を任期満了の半年前に辞めさせて、澄田智副総裁(当時)を担ごうという動きがあった。歴史は繰り返すとすれば、今回、速水総裁は批判が強いだけに、任期満了はいよいよ赤信号かもしれません」