金融庁は10日、大規模なシステム障害を相次いで起こしたみずほフィナンシャルグループに対して、業務改善命令を発動する方針を固めた。「社会的な混乱を招いたうえ、銀行の決済機能の信頼を低下させた責任は免れない」(幹部)と判断した。みずほからの最終報告を受けて早ければ来週にも命令、みずほに内部管理体制などの改善計画を出させて、再発防止に全力を挙げる。システムトラブルに関する業務改善命令は初めて。
業務改善命令は銀行法に基づく行政処分で、金融庁は管理体制の見直しのほか責任の明確化を求める考え。
金融庁は、みずほが10日に提出した中間報告や今週末か来週初めに提出される最終報告を基に、原因を詳細に分析。さらに、みずほから追加説明を求めながら、日銀とも連携して(1)3行統合に伴うシステム構築の企画、開発、管理体制に不備はなかったか(2)システムのチェック体制の強化策が十分だったかどうか――などを検討し、業務改善命令の具体的な内容を詰める。
一方、同庁は、みずほのシステムが完全復旧していないことを重視。とくに、今月末からの大型連休の前後や谷間の平日に取引が集中した場合に、トラブルが再発する事態を避けるため、みずほ側にコンピューターシステムの専門的な分野も含めて細部の追加報告を求める方針だ。
金融庁が業務改善命令の発動方針を固めたことで、みずほ経営陣に対する批判がさらに強まることは避けられず、みずほは、経営責任の明確化と信用回復を図るため、グループ経営陣の役員報酬カットなどの処分に踏み切るとみられる。 【瀬尾忠義】