ゴルゴ13も持っているスイスの預金口座、一般人が開設するのは無理なんて思い込んでいたけど、意外に簡単かも?ペイオフ対策として預金を分散したい方も多いはず。この際チャレンジしてみる?
さいとう・たかを氏の人気コミック「ゴルゴ13」の主人公で国際的な狙撃者(スナイパー)ゴルゴ13が活用しているスイスの銀行とは、スイスにある個人資産家だけを対象にしたプライベートバンクのひとつであると以前このコラムで推測した。そこで、今回はどのような手続きを踏めばゴルゴ13と同じようにスイスに預金口座を開設することができるのであろうか、またそもそも一般の人にも開設できるものなのであろうか述べることにする。
日本人がゴルゴ13と同じようにスイスに預金口座を開設する方法は以下の3つの方法が考えられる。
1、インターナショナルな商業銀行(シティバンクなど)の日本にあるプライベートバンキング業務を行っている支店で、スイスのジュネーブ支店やチューリッヒ支店の預金口座を開設する。
2、スイスに本店のあるプライベートバンク(ロンバー・オディエなど)の東京駐在員事務所で本店預金口座開設の取次ぎ又は担当者紹介を依頼する。
3、直接スイスに行って日本に拠点の一切ない名門のプライベートバンク(ダリエヘンチなど)で預金口座を開設する。
2、3、の方法はスイスのプライベートバンクが厳格な顧客基準を持っていて、運用資金として最低10億円以上必要としているため、主に産油国の国王一族、ヨーロッパ貴族、海外上場企業のCEOなどが顧客となっていて、一般の人が預金口座を開設するのは簡単ではない。また、上記条件を満たしていても飛び込みで銀行に行っても口座開設は難しく、既にその銀行に預金口座を持っている人に紹介してもらうのが望ましい。ゴルゴ13は当然このクラスの銀行に預金口座を開設していると思われる。
1、の口座開設は、1000万円ほど現金を持っていけば事業家や資産家でなくても比較的簡単に顧客になることができ、プライベートバンキングサービスの一端を経験することができる。したがって、ゴルゴ13入門編としては、お薦めコースである。またこちらはスイスだけでなく、ニューヨーク、シンガポール、香港などにも、日本に居ながらにして預金口座を開設することができるので、外資系企業で働くエグゼクティブや海外出張の多い事業家などには便利である。
さて、幸いにもプライベートバンクの門戸をたたき顧客になることを許された場合に、どのような手続きで預金口座を開設するのであろうか。まず日本の銀行と同じであるが、本人確認義務が銀行側にあるので、パスポートなどの写真付の身分証明書を提示する必要がある。本人確認が終われば後の手続きはいたって簡単で、預金口座開設書やサインカードなど何枚かの書類に必要事項を記入して、サインをすれば口座開設は終了する。
そして、ゴルゴ13が開設したと思われる預金口座は、正式には匿名番号口座(Numbered Account)と呼ばれ、顧客は口座名義を実名でなく匿名にすることができる。これが「スイス秘密口座」と呼ばれているものだ。たとえば、あなたは口座名義に「スナイパー」を選ぶことができ、以後この銀行内であなたは、「スナイパー」として取り扱われることになる。上記の口座開設手続きの中で匿名番号口座を開設したいと申し出れば申込書を渡されるので、自分の匿名を選びサインするだけで「スイス秘密口座」を獲得することができる。ゴルゴ13入門編としては、是非この口座にもチャレンジして欲しい。
本年4月1日よりペイオフが実施され、最終的には普通預金を含め各銀行1000万円までしか保証されないことになる。一方日本の銀行の不良債権金額は減るどころか増え続け格付けも下がるばかりであり、ペイオフ対策として預金も分散して各銀行に預けるのも限界がある。預金保険の対象外にはなるが、日本の銀行より信用力の高い海外の銀行を選んで、そろそろ資産の一部を移転することを真剣に検討する時期に入っているのではないか。あなたも是非ゴルゴ13入門編から始めてはどうだろう。
スイス在住 プライベートバンカー 我妻 さとる
提供:株式会社FP総研