金融庁は9日、大手銀行ごとに資産や財務状況を常時監視する専任検査官制度の検討に入った。米国の「常駐検査官制度」の日本版を目指す。国内行に検査官を常駐させるには銀行法の改正が必要なため、日本版はオンライン網などで経営動向をチェックするのが特徴。監督能力への信頼回復の決め手と期待している。
小泉純一郎首相が8日、柳沢伯夫・金融担当相に「不良債権の処理を急ぐため、切れ目なく手を打ってほしい」と指示したのを受けた。
専任検査官は、リスク管理や経営動向に目を光らせる。1行あたりの検査官の数や対象行は今後詰める。年1回の立ち入り検査などは、金融庁から派遣される別のチームが担当する。
銀行法25条は、監督当局の立ち入りを「健全な運営の確保に必要がある時」などに限っている。検査官の常駐には法改正が必要なうえ、銀行側の抵抗も予想される。そのため、普段は銀行の外にいながら、対象行を念入りに監視できる新しい制度を想定している。
金融庁は昨年11月から今年3月にかけて、大手行が抱える不良債権の状況をつかむための特別検査を実施し、12日に結果を公表する。しかし、それで市場の不信感を解消できるのか、という声が早くも出ている。
このため金融庁は、人事異動後の新しい事務年度(7月〜翌年6月)に向けて、専任検査官を含め検査態勢全般の見直しに着手する考えだ。
米国の常駐検査官は、1行あたり20人ほどが銀行内に常駐し、財務状況を徹底監視している。検査費用などは銀行側が負担するのが一般的だ。(03:04)