原油価格が季節はずれの高騰を続けている。これを受けてすでに帝国石油<1601>、アラビア石油<1603>などが動意づいており、先行きへの思惑を呼んでいる。もし、米国がイラクに軍事行動を起こせば、原油価格は確実に急騰し、過去最高の1バーレル当たり40ドル超えという事態も予想される。その前段としてのパレスチナでのイスラエル軍の攻勢の行方も気になるが、石油化学、金属、セメント、紙・パルプなどの素材産業へも今後、ジワリと波及してくる見通しが強まってきそうだ。
●欧米メーカーに追い着くチャンス到来?
とくに石油化学は世界的なデフレから一転して、鋭角的な価格上昇カーブをたどることが考えられる。中国シフトを始めた欧米化学メーカーに大きく水を空けられてきた日本のメーカーにとって、それが“ケガの功名”となる可能性も出てきた。化学メーカーにとっては、原油価格と需給から目が離せなくなってきたといえそうだ。
石油価格は、世界的なデフレ傾向に反して今年に入ってから確実に上昇し始めている。その背景にあるのが、いわゆる米国によるテロとの長期対決宣言である。その第一目標がイラクであり、イラクへの攻撃を見込んだ需給逼迫の先取りといわれる。
●アジアでは素材市況がすでに上昇へ
すでに、石油関連企業の株価が上昇をみせているが、今後は石油化学やセメント金属、紙・パルプといった素材関連ヘの影響が表面化してきそうだ。これらのメーカーは、世界的なデフレもあってこれまで価格の下落に見舞われてきた。しかし、アジアではすでに素材市況が今年に入ってから上昇に転じている。
アジアの市況を敏感に反映しているシンガポールでは、最大の関心がイスラエルによるパレスチナへの進攻が米国のイラク攻撃にどのような役割を担うかだ、という。
つまり、その動向が原油価格や素材価格に大きなインパクトをもたらすとみているのだ。アジア、中国では石油需要がこの数年大きく伸びている。とくに中国は、数年前からすでに純石油輸入国に転落していることから、原油価格の上昇の影響はわが国を大きく上回ることは確実といえよう。
(伴有 亮太郎)
・対岸の火事では済まない?〜中東緊迫で日本株にも暗雲
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/03/20020403143518_23.shtml