金融庁は大手銀行への特別検査の結果を12日公表する。経営が振るわない大口融資先への評価を厳しく見直すことで新たな不良債権が発生し、その処理に伴う損失額は約1兆9000億円になる。柳沢伯夫金融担当相は検査による処理前倒し効果を強調するが、金融不安の解消には不十分との声も多い。不良債権の最終処理への道筋はまだはっきりしない。
金融庁の特別検査の結果について、民間の銀行アナリストの間では「不良債権の実態把握には不十分」との見方が多い。今回の特別検査で洗い出されたのは、大手銀行が抱える潜在的な不良債権の一部にすぎないとの声もあがっている。
特別検査の対象は、各行の残高100億円以上の大口融資先のうち株価や格付けが大きく変化したところだ。業績不振が続くゼネコン(総合建設会社)、不動産、ノンバンク、流通の四業種やその関連会社、製造業などで、その数は149社、融資額や支払承諾額といった総与信額は12兆9000億円に上った。