大手スーパー西友の買収を決めた世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズの財務部門のジェイ・フィッツシモンズ上級副社長(54)は9日、毎日新聞のインタビューに応じた。同氏は、西友の買収にもかかわったが、当面はウォルマートの看板にはこだわらず、同社のノウハウを移入して西友の既存店舗を改革すると強調した。 【増田博樹】
――仏カルフールなど日本に進出した他の外資は苦戦しているが。
◆例えば、ウォルマートの本社のあるアーカンソー州で芝刈り機はよく売れるが、東京では売れない。国によって消費者の考えが違うのは当然。5年前から日本進出を慎重に検討してきたし、先行した外資からも教訓を得たつもりだ。
――商品やシステムをどう西友に移植する?
◆あくまでも西友の商品展開がたたき台になる。これを基礎に、ウォルマートの仕入れ方式やシステムなど高度なノウハウのうち、何が日本で使えるのかを西友に判断してもらう。我々の手法がすべて歓迎されるとは思わないが、全部が「ノー」ではないだろう。
――ウォルマートの店をいつ展開する?
◆新規の不動産の取得や立地選定にはある程度の時間がかかる。当面の焦点は西友の既存店舗の改革になる。ウォルマートの看板を店に掲げることにはこだわらない。米国以外に9カ国に進出したが、英国でも買収した企業の名前を変えていない。
――西友の経営にどう関与するのか。
◆西友の経営陣に取って代わることはしない。西友の経営者は優秀だ。ただ、我々のノウハウを移入するため、専門家は派遣する。西友には有利子負債が6000億円(01年8月末)あるが、これまでのリストラは高く評価する。
――07年までの段階的な出資を発表しているが、前倒ししたり、逆に途中で撤退することは。
◆前倒しはあり得る。西友との共同事業のスピード次第だ。撤退については、世界第2位の日本市場が重要だと改めて強調したい。確信がなければ進出しない。
――日本でもナンバーワンを目指すか。
◆なれたらいいとは思うが、必須ではない。重要なのは規模ではなく株主や顧客などにプラスになるかどうかだ。