ペイオフ(破たん金融機関からの預金の払い戻し保証額を元本1000万円とその利息に限る措置)の凍結解除を前に、大手銀行に大規模な預金シフトが起きていたことが9日、明らかになった。
三井住友銀行、みずほ銀行(旧第一勧業銀行と旧富士銀行)、UFJ銀行、東京三菱銀行の4大金融グループの3月末の個人預金の残高合計は、前年同月比で8%増、金額では7兆7000億円も増加し、104兆3000億円に達した。特に、東京三菱銀行では3兆1000億円、三井住友銀行では1兆8000億円の巨額の資金が流入した。
預金別の内訳では、普通預金など流動性預金が、4グループで、同45%増の47兆円と急増した。一方、1000万円以上の大口定期預金は、同25%減の17兆7000億円と大きく減ったのが特徴になっている。
ペイオフの凍結解除を控え、預金者が大規模で信用力の高い金融機関を選ぶ傾向が強まったことに加え、4月以降も1年間は全額保護の特例が残る普通預金に預け替える動きが強まったためとみられる。
ペイオフを控えての資金の動きについては、全国銀行協会も預金・貸出金速報を9日に発表している。この速報は、個人だけでなく法人も含むすべての預金(小切手などは除く)が対象で、3月末の残高は、都市銀行が前年同月比12・1%増の24兆1535億円と急増したが、地方銀行は同1・7%増にとどまり、第2地方銀行は、同1・0%減と減少した。
今後は、普通預金の全額保護が打ち切られる来年3月末までの預金移動に注目が集まっている。