経営再建中のスーパー、ニコニコ堂(熊本市、友納宏社長)は9日にも民事再生法の適用を申請する方針を固めた。取引金融機関に300億円超の債権放棄を求めてきたが交渉が決裂、私的整理による再建を断念した。
中国事業への過大投資が裏目に出たためで、負債額は連結ベースで1033億円、単独で872億円(01年9月中間期)。九州のスーパーでは最大手の寿屋(同市)に続く大型倒産となった。
大型店舗はイズミ(広島市)、食品スーパーはサニー(福岡市)に引き受けてもらう方向で調整している。
創業者一族は中国での事業拡大に積極的で、85年に浙江省に紡績工場を設立したのを足がかりに、北京や上海など5カ所のホテルに出資、不動産や百貨店、ディスカウント店など多角化を進め、一連の投融資は86億円にのぼった。
98年には中国事業からの撤退を表明したが、00年9月中間決算(連結)では初めて40億円の債務超過に陥った。01年1月、ダイエーとの提携で再建をめざしたが、利益率は悪化し、銀行からの借入金もかさんだ。
同社は衣料品を扱うスーパーとして60年に創業、食品から住居関連、家電などに取扱品目を広げ、総合スーパーの地歩を固めた。熊本と佐賀、長崎、福岡の4県で44店を展開し、今年2月末の従業員数(パートを含む)は3118人。女子陸上部には88年ソウル五輪1万メートル代表でタレントの松野明美さんが在籍し、全国に名が知られた。
94年に株式を上場し、現在は大証2部と福証に上場している。01年3月期の売上高(連結)は762億4500万円。帝国データバンクによると、寿屋を除く九州のスーパーで5位。