「3人よれば文殊のチエ」とかいうが、アマチュアが何人相談したってプロ棋士いや奨励会
にも勝てないだろう。文字通り段が違うのだ。
大手電機5社、具体的にはNEC、東芝、富士通、日立、三菱が次世代半導体の開発研
究に共同出資会社をつくるという。ついこの間まで半導体の増設競争で、あげくのはてはサ
ンタンたる値崩れ(半導体不況の特徴)で各社大減益の主犯となったのが、「これから仲良
くやりましょう」である。
次の本命は100ナノメートル(ナノは10億分の1)の高集積度半導体とウスウスわかって
いるのだが、なにせ大やけどの後始末で精いっぱいだ。アツモノにこりてナマスを吹くだけ。
これまでは世界の大勢にのりおくれると、経済産業省が描いたシナリオに各社「みんなで渡
ればこわくない」と乗ってきた。
経産省、ウマくゆけば業界の再編統合のヘゲモニーもと考えているらしい。世の中自由
化、競争促進が流行だと言うのに、このお役所ではまだ佐橋イズムのDNAが生きている。
珍重すべきか。
せっかくのご親切(言葉をかえればおせっかい)だが、共同研究ウマくゆくものか。3人よ
ればではない5社あたまをつきあわせて、ロクなチエは出ないだろう。先端技術の開発な
ど、1社でやって失敗したらと及び腰でいるようでは、もう結果が見えている。
飛躍するようだが、トヨタとホンダが無公害エンジンの開発を共同研究するだろうか。そん
なことするくらいなら、会社をツブした方がいい(特に後者)と思うだろう。
ウイナー・テーク・オール、勝った者がすべてを。それで企業は真剣になる。
「成功したら仲良く5分の1ずつ分けようね」だって。賭けてもいいが。 (三連星)