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ペイオフ解禁下、金融庁がひた隠す15行の経営破綻−−粉飾の「景気回復宣言」(ウイークリーポストドットコム) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 08 日 21:11:37:

(1)株価上昇で政府は機能停止

2月上旬。平均株価は1万円を割り込み、バブル後最安値の9420円をつけると底値に張りついた。
大手銀行の株の含み損は合わせて6兆円ともいわれ、そのままでは3月の年度末決算を乗り切れず、軒並み国営化されるのではないかと見られていた。≪3月危機≫は紛れもない現実だったのである。
経済が苦手な小泉純一郎首相もさすがに顔色を変え、日米首脳会談(2月18日)の直前に柳沢伯夫金融相を官邸に呼びつけると、
「金融機関の経営に大きな影響力を持つ貸出先についてしっかり検査し、処理せよ」
――と指示した。アメリカ政府からはダイエーをはじめとする経営不振の企業を思い切って淘汰し、銀行の不良債権処理を急ぐようにという強い意向が伝えられていた。小泉首相もそれに従ってゼネコンや流通、商社など10数社を≪容赦なくつぶせ≫と命じたのである。
それが3月の声を聞くと、政府の徹底した市場監視と年金や簡易保険など公的資金を使って株を買い支える≪株価PKO≫が発動され、あれよあれよという間に株価は一時1万2000円台までハネ上がった。
その間、一部のゼネコンの合併が発表された程度で、構造改革や産業再編につながりそうな大企業の倒産は何もなく、官製相場が仕組まれただけだった。
政府は株価操縦と同時に景気回復を印象づける巧妙な世論操作も進めた。総務省が3月1日に≪失業率改善≫を発表したのを皮切りに、3月14日の月例経済報告では「景気は下げ止まりの兆しがみられる」と、いかにも“危機は去った”という好材料を並べ立てた。
小泉首相は経済の先行きにすっかり自信を持っている様子で、企業決算の基準日となる3月29日、東京株式市場が1万1024円で取引を終えると胸を張った。
「株価の水準も最悪のシナリオより良かったでしょう。金融危機が起きるという人も多かったが、『危機は起こさない』といった私の発言を信じてもらいたいね」
首相と財務相が自作自演の株価操作に酔っている。
現実を直視しようとしていないのは、柳沢金融相も同じである。
4月1日。いよいよペイオフが解禁されると、
「各金融機関は健全基準を満たしている」
――と、≪銀行安全宣言≫を出してしまった。
こうなると、銀行経営者まで足元を見ようとしなくなるから始末に負えない。
その日、経営統合で誕生したみずほコーポレート銀行の齋藤宏頭取は発足式の後、興奮した面持ちで、
「みずほグループは2兆円の不良債権を処理した。ダイエー、オリコ、飛鳥建設、佐藤工業、日産建設といった大きなところは法的、あるいは私的整理で3月31日までに処理を終えた。もう何も問題はない」――と、具体的な企業名をあげて処理を強調し、こちらも安全宣言をした。
浮かれている場合ではあるまい。株価PKOによる市場統制が一時的な効果をあげたとしても、日本経済の再生には全くつながらない。
三菱総合研究所の後藤康雄・主任研究員は、株価PKOを続けることはかえって経済再生の障害になると警鐘を鳴らす。
「今の株価上昇は実体経済を反映したものではない。それなのに、株価が回復したことで政府内の警戒感が下がっている。これで中長期的に必要となる構造改革にブレーキがかかることが心配です。政府中枢はペイオフ解禁を乗り切ってホッとしているようですが、市場はそうは見ていない。いまだ日本の金融システムは脆弱であり、それが株価下落の引き金になる可能性もあります。
一部の企業の業績が上向いても、リストラで経営を建て直しているのが現実で、社員の給料は上がらず、失業者は増えている。企業の業績回復が家計に反映せず、消費も伸びない。それでは何の意味もない」
後藤氏が指摘するように、株価上昇で小泉内閣中枢や自民党、銀行経営者にまで妙な楽観ムードが広がってしまったことが、クラッシュ寸前だった日本経済に取り返しのつかない新たな危機を生んだことを当事者たちは見て見ぬふりしている。

(2)70行の取り潰し予定リスト

1年前の昨年4月頃、金融庁監督局ではある報告書の作成に追われていた。
全国の財務局が行なった信用組合や信用金庫への立ち入り検査の結果をもとに、ペイオフ解禁までにどの金融機関を処理、つまり破綻させておかなければならないかという≪ブラックリスト≫づくりだった。監督局幹部が明かす。
「信金、信組などの中小金融機関は経営基盤が弱いところがほとんどだ。しかも、経営者はワンマンで地元選出の自民党議員の有力後援者というケースが多く、これまで合併など再編がほとんど進まなかった。そのまま生き残らせてペイオフ解禁後に破綻すれば、預金カットを実施しなければならず、金融不安が一気に高まる。そこで、立ち入り検査では資産査定を厳しく評価し、債務超過ギリギリの金融機関は預金が全額保護される1年間で破綻や合併によって処理するというのが至上命題だった」
小泉内閣の発足で、金融相がペイオフ先送り論者で中小金融機関の保護を重視していた相沢英之氏から柳沢氏に交替すると、リストづくりに拍車がかかった。処理対象の金融機関も信金、信組から第2地銀、地銀へと広がり、柳沢大臣や森昭治金融庁長官に報告された≪ブラックリスト≫には、約70の金融機関がピックアップされていた。
そのリストに沿って、昨年6月以降、金融庁はほぼ毎週のように各地の金融機関を次々に破綻させていった。これまでに56行がつぶれた。
が、そうした銀行の処理はここでピタリと止まった。
決して全部終わったからではない。
「3月に入って株価が急騰しはじめた途端に、再び自民党からの圧力が強まった。有力議員から首脳部に『あの銀行はまだ処理しなくていいのではないか』『なんとか持ちこたえられる』といってきたり、官邸サイドの口添えがあったこともある。金融機関の経営者もこの1か月さえもちこたえると、その後はつぶしにくくなるとわかっているから懸命にロビー工作をしていた。最後には柳沢大臣まで、『せっかく株価が上がっているのに、3月ギリギリになって金融機関を破綻させるとかえって市場に悪影響を与える』と破綻処理にストップをかけた」(前出の監督局幹部)
その結果、金融庁の検査で≪実質破綻状態≫と認定されて処理されるはずだった約70行のブラックリストの中で、信金、信組が12行(庫・組)、東北、関東、中部の第2地銀3行が危険な状態のまま残されたのである。

(3)金融庁が銀行決算に粉飾を指示

金融庁は株価PKOの発動に合わせて、大手銀行には3月決算にあたって粉飾決算まがいの経理操作を行なうように行政指導をしている。
金融機関では昨年度から決算を国際会計基準に合わせ、保有株を時価で評価することを義務づけられている。それまでは簿価(買った時点での株価)評価だったから株価が下がっても決算では表面化させずにすんだが、今回の決算では株価急落でどれだけの損失を抱えているかがすべてオープンになる。
ただし、時価評価には一つの抜け道があった。
国際的には、時価とは決算の基準日(今年は3月31日が日曜日のため、3月29日)の株価が用いられるが、日本の会計法では、基準日の株価か、あるいは一定期間の株価の平均値のどちらかを選択することができると定められている。ただし、前者を『原則法』、後者は『代替法』と呼んで例外扱いしている。
日本の銀行が国際市場での信用回復をめざすなら、原則法を使うのが当然だ。
ところが、金融庁はわざわざ月中平均株価、つまり3月の株価を平均する代替法を用いるように指示したのだ。
金融庁の読みは的中する。2月末に1万円前後だった株価は、PKOの発動によって一時1万2000円を超えたものの、その後、徐々に下がり続けて基準日には1万1024円だった。
1万1000円の水準では大手銀行全体でみるとまだ含み損を抱えているとみられているが、実際には月中平均方式をとることで、大手銀行はいずれも含み益を計算に入れることができた。
とはいえ、明らかな官民談合による経理操作である。
「4大メガバンク」では唯一、三菱東京グループだけが金融庁の指導に従わなかった。同行幹部の言い方が問題の核心を衝いている。
「日本政府のPKOはあまりにも稚拙で、世界中の市場関係者にバレている。それを利用して会計原則を曲げた決算をすれば、国際市場ではごまかしと取られることは間違いない。われわれはニューヨーク市場で正当に評価を受けるため、あえて不利な≪期末株価方式≫を採りました」
他のメガバンク各行は、いずれも金融庁からの指示があったことは否定しながらも、
「ルールで認められているから経営判断で決めたにすぎない」(UFJ)
「月中平均の方が実態をより反映できる」(みずほ)
「期末株価による評価は長期保有株には適さない」(三井住友銀行)
などと正当性を主張した。
ペイオフが始まっても金融庁と銀行業界は相変わらず護送船団方式で経営の実態を誤魔化し、預金者には本当の情報を公開しないで「自己責任で銀行を選べ」といっているに等しい。
小泉内閣の情報隠蔽工作はまだある。
大手銀行が3月決算をなんとか乗り切れそうだとわかると、小泉首相が公約した特別検査の公表をウヤムヤにしようとしているからだ。
金融庁は昨年11月から大手銀行に対する特別検査を実施してゼネコン、流通など経営不振の問題企業への融資を集中的にチェックした。
小泉首相は2月の柳沢氏との会談で経営不振の大企業をつぶすように指示した際、特別検査の結果を国民に公表するように迫った。柳沢氏は検査が終わる4月の情報公開を決めた。
しかし、小泉首相はここに来て態度を変えた。金融庁中枢筋の話だ。
「株価上昇で大手銀行の決算に余裕ができたため、懸案だった大手企業の処理は“待ったなし”ではなくなった。このまま景気が回復して処理そのものが不要になる可能性もないとはいえない。官邸も、あえて特別検査の結果を公表し、“この企業はこれほど経営内容が悪化している”と明らかにするのは得策ではないという判断に傾いている。そこで、4月12日に発表予定の特別検査の結果は、個別企業や個別行の名前は一切出さず、不良債権の総額や何分類の企業が何社あるか、といった抽象的な表現に止めることになった」
これでは小泉首相のいう思いきった不良債権処理どころか、何もかも先送りの政治に逆戻りではないか。

(4)小泉首相が日銀に借金依頼

金融庁が危機の真相を隠すことに躍起になれば、一方の財務省は、小泉首相を陰で操って借金財政をさらに膨らませようと悪知恵をめぐらせている。
小泉首相は2月27日に総合デフレ対策を打ち出したものの、市場からは全く相手にされず、すぐに第2弾の追加景気対策を検討しなければならなくなった。
官邸と自民党執行部では、早くも秋の臨時国会で補正予算を編成する方針を固め、準備に入った。
ところが、今国会で成立したばかりの今年度予算で小泉首相の公約である国債発行30兆円枠をすべて使い切っており、補正予算を組むとなると、小泉首相は今や一枚看板となった財政再建路線まで転換しなければならない。
なんとしても公約を撤回したくない小泉首相は、速水優・日銀総裁にひそかに借金を申し入れていた。
2月19日に首相官邸で行なわれた小泉・速水会談の席だった。その日、速水総裁は政府の金融対策が後手後手に回っていることにしびれを切らせて首相を訪ねた。
「柳沢さんのようにいつまでも“金融危機はない”とでまかせをいっていては本当に金融クラッシュが起きる。予防的に銀行に税金投入する覚悟を決めてほしい」
そう迫る速水総裁に、小泉首相は意表を突く切り返しをした。
「財務省は日銀からの政府直接借り入れを検討している」
要するに、国の歳入不足を国債発行でまかなうだけではなく、政府が日銀から直接借金しようというのだ。それができれば、小泉首相はこれ以上、国債を増発しないでいくらでもデフレ対策の財源ができる。
「政府は特別会計の赤字を埋めるために民間銀行からの借り入れ制度を導入し、『地方交付税特別会計』と『国有林野事業特別会計』を合わせて16兆円以上を借金している。それを民間銀行だけではなく、日銀からも借りたいというのが具体的な提案だった」(財務省幹部)
だが、日銀が国債を引き受けることもインフレを招く危険性があるために禁止されている。ましてや、政府が日銀から自由に借金ができるようになれば、財政規律は完全に失われる。速水総裁は絶句し、
「それだけは勘弁していただきたい」――と退散した。
小泉首相と財務省はあきらめたわけではなかった。
今国会に提出されている『証券決済システム改革関連法案』の中に、国債の金利スワップ取引の導入を盛り込んでいる。
難しい説明は省くが、財務省主計局幹部はその狙いをこう解説してみせた。
「国債の利払い費は年間10兆円を超え、今後さらに増えていく。理財局は当面の金利負担を低く見せかけるために、政府系金融機関などに金利の一部を肩がわりさせ、うまく隠す方法を編み出した。複雑な取引なため、国民にはまずわからない」
そうして表向き利払いが減ったことにして、その分の予算をデフレ対策にあてる。が、最終的には政府の隠れ借金になるだけで、小手先のトリックにすぎない。
そんな小細工をするなら、いっそ小泉首相は財政再建などできもしない公約をさっさと投げ捨て、
“金融危機も去っていない。景気回復も嘘でした。国債発行30兆円も守れない”
――そう正直に国民に説明したらどうか。

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