三菱東京フィナンシャルグループの平成14年3月期決算の最終利益が、当初の200億円の黒字から1500億円の赤字に転落する見通しとなった。これで4大銀行グループすべてが最終赤字となり、その総額は2兆5500億円にも上ると予想されている。いずれも金融庁の特別検査によって、不良債権処理額が当初予想より大きく膨らんだことが最大の原因だ。
もっとも、今回の不良債権処理も「抜本的」と呼ぶには程遠く、むしろ得意の問題先送り。4大銀行の“大出血”はまだまだとまりそうもないのが実情だ。
三菱東京が最終赤字となるのは、不良債権処理額が、昨年11月の中間決算発表時に予想した4800億円から6000億円超に増えたほか、株価低迷で株式評価損も拡大したためだ。
ただ、グループ傘下の東京三菱銀行は、子会社である日本信託銀行が、三菱信託銀行と合併したことで生まれた特別利益の恩恵で最終黒字を確保。何とか面目を保つことができるという。
4大銀行グループでは、三菱東京以外の3グループもすでに最終赤字に転落することが明らかになっている。赤字額はUFJホールディングスが1兆2000億円、みずほホールディングスが7200億円、三井住友銀行が4800億円になり、三菱東京とあわせた4グループの総額は2兆5000億円を超える見通しだ。
金融庁は今週末の12日に特別検査の結果を公表する予定。いわば、各グループの不良債権処理と、それに伴う赤字決算に当局が“お墨付き”を与えることになる。
これを受け、5月の決算発表では、「これで不良債権処理にメドがついた」と胸を張ってみせる、毎年恒例の“茶番劇”が繰り返されるのは間違いない。
金融庁の特別検査をめぐっては、「本当に処理されたのは過剰債務を抱えた大口問題企業のうち、法的整理された青木建設、佐藤工業だけ。ダイエーを筆頭に残りは金融支援というお題目で救済された。問題先送りの構図は何も変わっていない」(金融アナリスト)との見方が大勢となっている。
今回2兆5000億円もの赤字を垂れ流しても終わらない不良債権処理は、もはや泥沼状態だ。