増渕日銀理事は、今後の金融政策運営について、中央銀行として超えてはいけない一線は譲れない、としながらも、その範囲内であれば柔軟にやる、と述べた。
民放番組のなかで述べたもの。
増渕理事は、その点に関して「経済情勢が変わって工夫の余地がないのかということになれば、これまでもそうだが、(日銀の)外で議論があるものに対しては柔軟に耳を傾けてきたし、とるべきものはとってきた。中央銀行として超えてはいけない一線は譲れないが、その範囲内では柔軟にやる」との考えを示した。
増渕理事は、日銀による外債購入の可能性について、為替は財務省の所管である、としたうえで「大量の資金を円滑に供給するためには、国債を買うことを含め今の手持ちの(金融政策)手段で十分だ」と述べた。
CP・社債など実物資産を日銀が購入することに関しては、増渕理事は、「資金供給の目的を離れて、たとえばケチャップなどの価格を上げたり、支持したりということは別の話だ。それが望ましいというなら政府の政策としてやるべきもの」との考えを示し、さらに「今の時点で、ケチャップなど(実物資産)を買うのは一線を超えると思う」と語った。
また、増渕理事は、「日銀は、当座預金残高にたっぷりと資金供給しているが、大量の資金供給に必要なら長期国債買い入れを、銀行券発行残高の上限を超えないという条件のもとに増やすことはありうる」と述べた。
また、増渕理事は景気認識について、「底打つ気配は出てきている。世界的に回復の方向にあり、特に米国景気の回復がはっきりしてきているので、日本経済も輸出などで上向く気配が出てきている。国内の消費などが弱く、まだ様子をみなくてはいけないが、方向としては少し上向くのではないか」との認識を示した。
このほか、増渕理事は番組終了後、記者団からの企業金融に関する質問に対しては、3月日銀短観などをみる限り厳しい方向に向いている、としたうえで、「97−98年のように、全般的に急速な引き締まりの状況ではない」と語った。
また、最近のみずほ銀行のシステムトラブルに関して、増渕理事は「その結果が金融市場に混乱を生じさせているわけではない」として、「その意味での対応は必要ない」と述べた。