財務省や警察庁所管の四つの財団法人が、元利の償還が遅延しているアルゼンチン政府発行の円建て国債を計約18億2000万円分保有していることが、6日分かった。今年3月の利払いを受けられなかった法人の中には、職員給与の一部を返上するなどして、事業費の穴埋めを余儀なくされている。
同国債を所有していたのは、海外投資事業の調査などをする「海外投融資情報財団」(東京都千代田区)約5億円▽犯罪被害者の遺児に対する奨学金事業などを行っている「犯罪被害救援基金」(港区)約8億円▽殉職警察官の遺児の奨学金事業をしている「警察育英会」(千代田区)約2億5000万円▽殉職警察官の遺族支援事業をしている「警察協会」(同)約2億7000万円。
このうち、犯罪被害救援基金は、基本財産約41億円の運用益を事業に充てているが、低金利時代に事業費をひねり出すため、高利回りの同国債を購入していた。3月の利払い約4000万円が受けられず、給与返上や一部事業の見直しなどで経費の穴埋めを行っている。同様に、警察育英会、警察協会もそれぞれ約1000万円の利払いを受けられず、職員手当の削減などで対応している。
海外投融資情報財団は今年6月の利払い約2000万円の支払いが危ぶまれているが、「会員から委託された調査業務など他の収益があるため、利払いがなくても全体業務に影響はない」と話している。
アルゼンチンは昨年12月、経済危機から対外債務支払いの一時停止を宣言し、3月の同国債の利払いもしなかった。同国債は、96年以降4回発行され、利回りは最高で5・4%、日本での発行総額は約1915億円。公共団体や信金など金融機関が大量に保有している。