【ワシントン竹川正記】米エネルギー販売最大手エンロンの倒産事件で、元経営陣らを対象に損害賠償訴訟を起こした投資家や州年金基金などの原告団は5日、新たに同社株購入の推奨などをしたメリルリンチなど米大手金融グループへの賠償を求めて提訴に踏み切る見通しになった。
AP通信などによると、週明け8日にも、集団訴訟の内容を修正し、メリルのほか、シティグループやJPモルガン・チェース、クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)などに対する損害賠償訴訟を起こす。原告団は、エンロン倒産を受けて昨年末、ヒューストンで同社のケネス・レイ元会長兼CEO(最高経営責任者)ら現・元経営陣29人と、監査を担当した会計事務所、アーサー・アンダーセンなどに対し、総額数百億ドル規模の巨額損害賠償訴訟を提こした。
さらに、融資や金融サービス、投資家へのエンロン株購入推奨などで親密な取り引き関係にあった大手投資銀行などの責任追及の可能性を検討。その結果、同社の経営危機が表面化する間近まで同社株の販売を推奨したり、経営陣へのコンサルタント業務をしていたこれらの大手金融機関には、「エンロン元経営陣らと共謀して投資家をだました」責任を問えると判断したとみられる。
エンロン事件をめぐる損害賠償問題は、米大手有力金融機関も巻き込んだ大規模訴訟に発展する見通しとなった。
[毎日新聞4月6日] ( 2002-04-06-12:02 )