1日の経営統合後、ATM(現金自動預払機)の障害を起こしたばかりのみずほ銀行=写真=で、口座振替など送金業務に関しても、システムに障害が発生していることが明らかになった。公共料金やクレジットカードなどの自動引き落としが、数十万件の規模で遅れているとみられ、影響は全国に拡大している。みずほでは緊急対策本部を設置し対応に当たるが、5日になっても復旧のメドは立っていない状況だ。
障害が起きているのは、みずほ銀、みずほコーポレート銀の口座振替システム。みずほ銀の説明によると、1日付で行うはずだった口座振替約300万件のうち、数千件の処理が2日以降にずれ込んだ。口座振替とは、事前に登録した口座から、公共料金などを自動的に引き落とす決済システム。ここにトラブルが生じたことで、電力やガスなどの公共料金の自動引き落としや、クレジットカードの決済などに遅れが生じており、入金が確認できない企業に影響が広がっている。
口座振替の遅れは2日以降も続き、東京電力では、2日に予定していた自動振替約10万件について、実行の確認ができないでいる。関西電力、東邦ガスなど、全国の電力、ガス会社でも同様の状態だ。このほか、クレジットカード会社でも、決済日になっても顧客口座からの引き落としが行われないトラブルに見舞われている。5日には、大手カード会社の決済日が迫っており、「入金されないと会社の被害になる。被害の規模は想像できない」と話す関係者もいる。
みずほホールディングスでは、「近日中に引き落とし処理は終了する見込み」としているが、システム復旧時期については明言できない状況で、復旧が遅れれば遅れるほど、被害が拡大することは必至だ。
みずほでは今回のシステム障害の原因について、(1)システム統合の際のデータ処理の不手際などで障害が発生(2)統合初日に自動振替の事務処理が集中(3)慣れない新システムの扱いに手間取った−と説明。つまり、ATMのトラブルの時と同様、「3行の“主導権争い”による準備不足」が原因というわけだ。
相次ぐシステム障害で、利用者からは「安心して利用できない」との不信の声が高まっている。総資産145兆円の“メガバンクの雄”だが、基本業務にすらトラブルを抱え、その前途は多難だ。
ZAKZAK 2002/04/05