企業と金融機関との間で株式持ち合いを解消する動きが続いている。2001年度は事業法人が11年連続、信託銀行を除く銀行が6年連続で株式を売り越した。株価変動が経営に与える影響を減らすことや資産効率を高めるのが狙いで、2002年度も高水準の株式売却が続くとみられる。
東京証券取引所が4日発表した3月最終週の投資主体別売買動向を基に2001年度の数値を集計した。信託銀行を除く銀行の売越額は1兆7276億円と2000年度比862億円拡大した。信託銀行は資産運用を受託している年金の売買が含まれており除外するのが一般的。銀行の保有株売却は持ち合い株式への時価会計導入が引き金。株価の下落で保有株に含み損が生じた場合、銀行自己資本比率を低下させ、経営のリスク要因になる。事業法人の売越額は5054億円と6979億円減った。企業にとっても持ち合い株の売却は経営の優先課題だが、銀行よりは財務に余裕があり株価低迷で売却を手控えたとみられる。売却した株式の有力な受け皿となったのが2年ぶりに買い越した外国人投資家。構造改革への期待を背景に1兆6708億円買い越した。