米通商代表部(USTR)は2日、貿易上の問題点を各国別にまとめた「02年版貿易障壁報告書」を発表した。日本については、NTTの力が圧倒的に強い通信市場や、閉鎖的な農産物市場などを批判。全部で450ページの報告書のうち、日本は最も多い43ページが割かれている。
力点が置かれているのが、農産物の問題だ。米国産の高品質のコメが、日本の食卓には載らない不透明なシステムになっていると指摘。米国産のコメの小売価格は、輸入価格の3倍も高くなっているとし、流通制度の改善を求めている。世界貿易機関(WTO)の新ラウンド農業交渉で、日本のコメ市場の開放問題を優先的に取り上げる姿勢を示した。
他の農産物の輸入に対する制限についても、いらだちを募らせており、日本が米国産リンゴに対し厳しい検疫を実施している点に米国が反発し、WTOの2国間協議が今月18日にジュネーブで開かれることを例示した。
報告書は「必要な事務手続きを増やし輸入を制限しようとしたり、科学的根拠から逸脱した政策を導入する傾向にあるようだ」としている。これに対し、日本側は「科学的根拠に基づいており、いいがかり」(農水省関係者)と反論している。
日本の通信市場については(1)NTTやNTTドコモが他事業者から取る接続料が高すぎる(2)通信行政を行う役所から独立した規制・監督機関がない(3)免許取得などの事務手続きが煩雑すぎる(4)「支配的事業者」であるNTTやその子会社に対する規制が弱すぎる、といった問題を指摘している。(