欧米市場の原油相場急騰を受け、中東のドバイ産原油に連動する東京工業品取引所の中東産原油先物(1キロリットル)市場は3日、最も取引量の多い期先物(9月決済)が一時、前日比590円高の2万1150円まで上昇し、昨年9月の上場以来の最高値を更新した。その後は高値警戒感から売り注文が膨らみ、同390円安の2万170円で取引を終えたが、原油とガソリン、灯油の3品を合わせた石油市場の出来高は、26万6675枚(1枚は100キロリットル)と過去最高を記録しており、原油市場は中東情勢などをにらみながら、神経質な動きが続きそうだ。
原油価格は米国景気の回復期待や対イラク情勢の不透明さを材料に、今年に入ってから上昇を続けている。ただ、国内の石油製品の小売り価格はむしろ逆に下落か横ばい傾向で推移している。
資源エネルギー庁によると、1リットル当たりの原油価格は今年に入り6円程度上昇。パレスチナ情勢の緊迫化もあって石油元売り各社は3月末、4月分からの卸価格を1リットル当たり3円値上げすると通告した。しかし、レギュラーガソリンの1リットル当たりの小売価格は逆に2〜3円程度下がり、全国平均では4月1日現在で98円と、前週から横ばいにとどまっている。
国内石油製品の小売り価格が国際市況をストレートに反映しないのは、従来からの過当競争体質に加え、景気低迷を反映した需要が弱いから。販売価格が安いセルフ式のスタンドの急速な普及も一因とされる。このため資源エネルギー庁は「米国などと市場環境が異なる日本では直ちに小売り価格が急テンポで上昇するとは考えにくい」と分析する。
ただ、今後の中東情勢次第では原油価格はさらに上昇し、石油依存度の高い米国をはじめ世界経済の回復に悪影響を及ぼすのは必至で、「間接的に日本へも影響を及ぼす」(内閣府首脳)可能性もある。国内の小売り価格が反転に向かえば、回復しかけた国内経済にとって打撃になりかねない。 【三島健二】