みずほ、三井住友、三菱東京、UFJの4大金融グループの01年度の不良債権処理予定額が6兆円を超える見通しとなった。大口融資先を対象とした金融庁の特別検査で追加的な処理を求められたほか、資産デフレによる新たな不良債権の発生も加わり、昨秋の計画時点よりも1割以上ふくらむ。一方で株式市況の回復で処理余力が出てきたこともあり、98年度以来の高水準となる。大和・あさひ銀グループなどを加えた大手行ベースでは、予定していた6兆4450億円から大幅に増えて8兆円に迫る水準となる。
4大金融グループ(統合前の旧銀行を合算したベース)で年間の不良債権処理額が6兆円を超えるのは3年ぶり。北海道拓殖銀行や山一証券が破綻(はたん)した97年度の8兆円には及ばないものの、久々の高水準となる。
昨年11月時点で4大グループは通期の不良債権処理を総額5兆4800億円と見込んでいた。内訳はみずほとUFJが2兆円ずつ、三井住友が1兆円、三菱東京が4800億円。しかし、特別検査の結果、三菱東京が1000億円以上増えて6000億円を超えるほか、三井住友が最大で5割程度、みずほが1〜2割程度、積み増しとなる公算が大きくなっている。
処理額が増えた最大の要因は特別検査の実施だ。金融庁は検査対象となる建設、不動産、流通などの大口融資先について、一定期間内で経営を再建できる見通しを策定するよう、各行に求めている。将来に向けて合理的な経営の道筋を示せなければ、銀行は追加的な引き当てを迫られる。
01年度下半期は米国の同時多発テロに伴う連鎖倒産や、米大手エネルギー企業エンロンの破綻など、海外での損失が増えたことも影響している。
金融庁は特別検査の結果を今月中旬に発表する予定。大手各行はこれに合わせて01年度の業務純益や自己資本比率などとともに、こうした不良債権処理額を明らかにする方向だ。(03:18)