1日の発足初日から全国のATM(現金自動預払機)で統合前の別の銀行のキャッシュカードが終日使えないなど障害が発生したみずほ銀行。徹夜の復旧作業で2日朝から通常利用が可能となったが、トラブルの背景には統合作業での「人災」を指摘する声もある。
みずほ銀のATM約7000台と、旧第一勧業銀行が提携するコンビニATM約4000台に及んだ障害の原因は、旧一勧の富士通、旧富士銀行の日本IBM、旧日本興業銀行の日立製作所と異なるホストコンピューターを「橋渡し」するリレーコンピューターに不具合が出たためだった。
旧3行が統合を発表したのは平成11年8月だが、その後、ライバル同士だった旧一勧と旧富士銀の間では、当初、どちらのシステムを残すか、激しい争いがあったという。
「世界最大の金融グループ」だけに情報量も膨大なため統合スケジュールは予定より遅れ、システム統合の本格的なテストを始めたのは、昨年12月になってから。「半年は必要」(大手銀行幹部)とみられていたシステム統合は、準備不足の不安が的中した形となった。グループ全体のシステムの完全統合は16年4月がめど。
システム統合に限らず、「旧3行の間には、案件ごとに週末に“作戦会議”で決めた方針を強硬に主張して譲らないところもあった」(みずほ関係者)と、旧行の縄張り意識による統合作業の困難さを指摘する声が上がっていた。
図らずもシステムのトラブルという形で統合のきしみが噴出したみずほだが、他のメガバンクや企業などでも再編・統合が相次いでいる。「2000年問題」ならぬ「システム統合問題」は対岸の火事ではないのだ。