「年度末のまさにギリギリの状態になって、ようやくオリコの経営再建策が発表になった。とはいえ、その内容はあまりに“急ごしらえ”あるいは“間に合わせ”という観が強く、さっそく関係者の間では、果たしてこれで再建できるのか、という声があちこちから上がっているのが実情なのです」
経営再建中の大手信販会社、オリエントコーポレーション(以下、オリコ)の再建策が、先週末の3月29日になってようやく発表された。
改めて説明するまでもなく、この3月29日は“営業日”としては2001年度の最終日となっており、オリコはギリギリ滑り込みセーフというような状況で再建策の年度内発表にこぎつけたのである。
「このオリコの再建策をめぐっては、同社のメーンバンクとなるみずほグループの中では、年度内処理を主張する旧興銀と、あくまでオリコの自主性に任せるべきで年度内処理にこだわるべきではない、とする旧第一勧銀が鋭く対立していた、と言っていいでしょう。結局のところ旧第一勧銀サイドが折れる形でとりあえず年度内処理という形がとられた」(みずほグループ幹部)
とはいえ、発表された新3カ年計画「ビッグウェーブ50」−を検証してみると、その内容はあまりにも中途半端と言わざるを得ない。とりあえず以下にその骨子を列挙してみることにする。
“新3カ年計画”では、2002年3月期末で2兆4000億円台となる有利子負債を3年間で1兆7100億円にまで圧縮する、としている。
「そもそもオリコは、過剰債務企業の代表格としてマーケットから認識され、例の“30社リスト”にもその名を連ねていたのです。そうした点で、有利子負債の圧縮は避けて通れなかった」(取引銀行幹部)
オリコサイドでは、同社にとっての“本業”である、カード事業やオートローンを中核とした個人部門へ経営資源を集中させる一方、不動産関連ビジネスを扱っていた関連会社四社の清算、不稼動資産−つまり不良債権−のオフバランス化、不動産資産の売却などで有利子負債の圧縮を図っていく、としている。
「もっとも、こうした“不良資産”の整理に着手するということは、含み損を一気に表面化してしまうことになるのです。オリコの場合、仮にすべての不良資産を整理したならば、4000億円程度の債務超過に陥ってしまうだろう、というのが関係者の一致した見方なのです」(取引銀行役員)
そこでメーンバンクを中心とする取引銀行各行からの“金融支援”の登場となるわけだが、
「実は、この“金融支援”の中身がいささか心もとないのです」(前述同)
今回の経営再建策において、この“金融支援策”の中身は極めて単純明快だ。
その中身とは、メーンバンクの旧第一勧銀−結果的には“みずほコーポレート銀行”−が、2000億円の優先株を引き受ける、というものだ。
「旧第一勧銀サイドは、2000億円の“債権放棄”に応じてくるだろう、というのが関係者の一致した見方だったのです。ところがフタを開けてみると一転して“優先株”の引き受けとは…」(取引銀行役員)
旧第一勧銀サイドとしてはオリコに対して、あくまでも“自助努力”せよ、というスタンスを崩していないと見るべきだろう。
オリコの今後の展開はまだまだ要注意だ。