財務省は1日、大量発行が続く国債の円滑な消化を図るため、政府が金融機関を指
定し、一定額の国債落札を義務づける一方、新型国債の取り扱い資格などで“特権”
を与えることを柱とする新制度を導入する方針を固めた。これまで、国債消化を支え
てきた金融機関による「シンジケート団」方式から、アメリカのプライマリー・ディ
ーラー方式に切り替えを図るもので、今秋にも導入したい考えだ。
2002年度の国債発行計画は、総額134兆円が予定されており、このうち市場
での消化額は104兆8000億円に達する。市場では大量発行に伴う債券の暴落懸
念がくすぶり続けており、財務省は安定消化への対策を急いでいた。
新制度では、指定金融機関に対し、短期から超長期の国債まで幅広く落札すること
を求める。具体的には、30年債、20年債、15年変動利付債を「超長期債」、1
0年債は「長期債」、5年債、3年割引債、2年債を「中期債」、TB(短期国
債)、FB(政府短期証券)を「短期債」と分類し、短期は発行額の0・5%以上、
それ以外はそれぞれ1%以上の落札を義務づける。
指定は半年ごとに更新されるが、義務づけられた落札条件を満たせば、次期も自動
的に指定を得られる。十数社程度の金融機関を指定する見通しだ。
一方、落札義務の裏返しとなる“特権”としては、来年1月導入予定で、元本と金
利部分を分離して取引できる新型国債「ストリップス債」の取り扱い資格を認める方
向だ。また、財務省が主催する国債市場懇談会などで、国債発行計画や市場改革につ
いて、金融機関側の要望などを表明する機会も与える。
(4月2日03:04)
http://www.yomiuri.co.jp/02/20020402i101.htm