【上海=下原口徹】中国の外国為替市場で1日、ユーロの取引が初めて始まった。上海外国為替取引センターのユーロの対人民元取引は1ユーロ=7.2160元で始まり、終値は1ユーロ=7.2250元で引けた。
ユーロ取引の売買代金は447万ユーロで、市場取引全体の約2%にとどまった。外為市場関係者によると、中国が外為市場で人民元を米ドルに対し事実上固定させているため、人民元の対ユーロ相場は海外市場のユーロの対ドル相場に近い水準になったという。
同センターは米ドル、日本円、香港ドルの3通貨を対元で扱っており、現在は「取引量の9割以上を米ドルが占める」(外資系銀行)。中国の世界貿易機関(WTO)加盟で中国企業の欧州での事業拡大が見込まれるため、ユーロ取引も始めた。中国は外貨準備高の米ドル依存度を引き下げようとしており、ユーロ・元取引の開始により外貨準備高の構成比が変わっていく可能性もある。