東証一部上場の中堅ゼネコン、日産建設が会社更生法の適用を申請して倒産した。筆頭株主で、取引先でもあるマイカルが倒産した余波をモロに受けた形で、負債総額は単独で1146億円。ゼネコンの大型倒産は佐藤工業の会社更生法適用申請でヤマ場を超えたとも言われていたが、金融庁の特別検査継続も決まり、淘汰の流れは新年度も続きそうだ。
日産建設は、48%の株を持つ筆頭株主マイカルの倒産が影響。マイカルグループからの受注は全体の7%に過ぎなかったが、同社向け債権98億円が焦げ付き財務体質が悪化したことで発注者側に信用不安が拡大。3月末には109億円の債務超過に陥った。
3月31日に記者会見した藤田毅社長は「マイカル破綻で当社の経営に風評が広がった。受注は伸びず、工事採算も悪化した」と無念そうに話した。
同社はこれまで、マイカルにかわる株主獲得や業務提携などを模索。自力での負債圧縮を計画していたが「実現できなかった。透明性が高い会社更正法で再建するほかないと判断した」(筒井洸副社長)と申請に踏みきった経緯を説明した。
主力取引銀行の第一勧業銀行の支援について、筒井副社長は「第一勧銀には十分な支援をしていただいた。自主的に会社更正法申請を決めた」と説明。金融支援の断念による倒産との見方を否定してみせた。
しかし、業界ウオッチャーは「改めて企業の命運を銀行が握っていることが明らかになった」と指摘。「今後も財務体質に問題のあるところで類似ケースが出そう」と警戒している。
同社では藤田毅社長以下、9人の取締役が全員辞任。今後保全管理人のもとで支援企業を探すが、「いまの段階では未定」(藤田社長)と難航しそうだ。
東京証券取引所はきょう4月1日から6月30日まで同社株を整理ポストに割り当て、7月1日付で上場を廃止する。