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金市場の材料としての「米国中間選挙」(住友金属鉱山レポート) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 01 日 15:26:42:

昨年末配信の「2002年の展望」でキーワードとして取りあげた、「米国中間選挙」が金市場をはじめ為替や株式など金融市場にも影を落とし始めている。
広く知られているように米国の議会制度は上院下院の2院制を敷いている。任期は下院が2年、上院が6年となっている。そして下院が2年ごとに全議席改選され、上院の方は全体の3分の1の議席がやはり2年ごとに改選される仕組みである。それが4年に1度の大統領選挙の中間にやってくることから「中間選挙」と呼ばれている。議会の主導権をどちらが握るのか、また次の大統領選挙につなげるという意味でも民主、共和両党激しい戦いを繰り広げることになる。今回は、投票日から1ヵ月たっても大統領が決まらなかったという異例の大統領選の後であること、また米国を中心とする国際情勢が緊張の度合いを高めている下で行なわれることからも注
目度の高い選挙となる。したがって、選挙を意識した政策の実行や各政党の議会での行動が直接あるいは間接的に市場に影響を与えることになりがちとなる。

米議会の勢力図

上院……定数100(改選34) 
民主50(改選14)  共和49(改選20) 無所属1

下院……定数435(全議席改選)
民主211  共和 222 無所属 2

現在の勢力図を示すと上のようになるが、両院ともに伯仲しているのがわかる。言うまでもなく改選議席数を如何に維持し、上回るかだが、上院は与党共和党の方が改選議席が多くその点だけ見ると民主有利となる。一般的に中間選挙は政権政党にとっては不利とされている。つまり過去の事例に照らし合わせると民主党有利となるのだが、今回は趣を異にする。90%に迫ると伝えられているブッシュ大統領の支持率の高さである。大統領選ではもともと民主党ゴア候補と「得票」を名実ともに2分し、政権発足当初こそ低支持率を余儀なくされていたが、「アフガン攻め」の予想以上の成功で一気に支持率が高まったのである。いわば「オサマ効果」とでも表現できる上昇を示している。
この先、両陣営とも選挙に向けて駆け引きが始まるが民主党陣営が、取り上げる“ネタ”で大きなものは「エンロン問題」となる。同社の捜査にはエンロン本社ルート、監査法人アーサーアンダーセン・ルート、そして政界ルートの3つがあるとされている。昨年末の破綻から現時点では「会計疑惑」など本社ルートの立件に力が注がれているが、これからは同時並行的にエンロンのケネス・レイ前会長とブッシュ政権との関わりにも徐々にスポットが当てられそうだ。ブッシュ親子2代の大統領と前会長の親密な交際は広く知られているし、選挙活動の際の最大の資金提供者とされる同氏はエネルギー省長官の有力候補となっていたほどである。ブッシュ
政権が昨年5月に発表した「新エネルギー政策」策定にあたっては、チェイニー副大統領が事前にレイ前会長と面談するなど(業界の意見を聴くのは当然とはいえ)“親密すぎる関係”が問題視されているわけだ。同会長が、エンロン社破綻直前にブッシュ政権の閣僚の多くに直接コンタクトを取っていたことが明らかになっているが、投資格付け引き下げ阻止を図ったり、同社の救済を依頼したと伝えられている。今後の真相追及の手が、選挙戦の高まりとともに「政争」に発展する可能性は無視できない。
もちろん共和党の方も手は打つだろう。複雑な会計処理など捜査難航が指摘されるエンロン問題は、まずそちらが明らかにならないと政界ルートには波及しないとの見方もあり、無難に乗り越えるとの楽観論もあるようだ。指摘されているのは、この問題とブッシュ政権が進める「悪の枢軸」に代表される米国およびその友好国の安全保障に脅威となりそうな国家に対する“先制攻撃の準備あるいは着手”との関係である。端的には、イラク攻撃が取り沙汰されているように、“外に向け緊張状態を作り出すこと”は、内政的には例えばエンロン問題への国民の関心をそらす効果が期待でき、そうしたことも現政権が積極的に活動している背景にあるとの指摘もできる。
“共通の敵が現れている時に国内で政争もあるまい”という構図の利用は、歴史的にもそうした事例は多く見られ、必然といえば必然か。となると、秋の選挙戦に向けこうした点からも年後半あるいは来年に向けての戦域のアフガン以外への拡大が想定され、国際的な政治的緊張状態は今後高まりこそすれ静まることは考え難い。
調停工作もむなしく悪化する一方にみえるパレスチナ・イスラエル情勢は、何らかのきっかけで一気に破壊的な動きに繋がりかねない危うさを増している。3月に入り、ファンド勢が原油を買い越したり、金鉱株を含め金市場に積極的に参入しているのは、中期的展望に立っての動きであるとも言えるのではないか。
中間選挙を意識した動きとしては、各国から非難の声があがっている「鉄鋼のセーフガード」発令の決定がわかりやすい例である。ブッシュ政権が産業界から上がる声に耳を傾ける傾向が強まっている証でもある。この点から注目されるのは、3月26日にワシントン市内での講演でマクドーナーNY連銀総裁の「ドルは若干、過大評価されている可能性がある」との発言であろう。政府サイドの発言ではないが、次期FRB議長の有力候補のひとりとされている人物でもある。おりしも米産業界から「強いドル政策」に対する不満の声もますます高まりを見せているとの報道もある。ドルが動くと金市場も敏感に反応するだけに目は離せない。(3月29日記)

金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎

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