2002年3月期決算を行う企業が保有株式の含み損益などを算出する基準日である29日の東京株式市場は、日経平均株価(225種)の終値が、前日比308円17銭安の1万1024円94銭と、大幅に反落した。年度末としては、バブル後の最安値だった昨年3月末(1万2999円70銭)を約2000円下回り、1984年3月末(1万968円41銭)以来の低水準となった。東証株価指数(TOPIX)も前日比22・24ポイント低い1060・19で引けた。
ただ、今年2月上旬の株価急落時につけたバブル後の最安値からは日経平均が約17%、TOPIXが約15%回復しており、懸念されていた金融システムの「3月危機」は回避された形だ。大和総研が29日の株価を基に行った試算によると、大手銀行13行が抱える株式の含み損は、2月上旬と比べて約5兆円少ない約1兆3400億円となった。
2001年度の株式市場は、昨年4月の小泉政権発足前後から上昇に転じ、首相が所信表明演説を行った5月7日に日経平均は1万4529円とピークを付けた。しかし、9月の米同時テロや、大手企業の経営破たんなどマイナス材料が相次ぐと、株価は下げ足を早め、今年2月6日には9420円85銭まで売り込まれた。その後は金融庁の空売り規制やアメリカの景気回復期待感から株価は上昇に転じていた。
29日の東京市場は、年度末で様子見気分が強まる中、公的年金資金の買い支えがあるのではないかとの市場の思惑が外れたことなどから、取引終了間際に売り込まれて、全面安になった。第1部の出来高は約5億6700万株で、4日連続で5億株台の薄商いだった。
(3月29日21:05)