【カイロ=岐部秀光】トルコからの報道によると、同国のエジェビット首相は27日、「改革は国家の力をそぎすぎているかもしれない」と述べた。トルコは金融危機を受け、国際通貨基金(IMF)の支援で経済再建への改革を進めている。首相発言はIMF流の改革策に不満を表明したもので、波紋を広げそうだ。
IMFとの合意に基づく改革策は、国営企業民営化など公共部門のスリム化を柱としている。これに対し首相は「われわれはやり過ぎたと言わざるを得ない」と発言した。特に国営銀行の民営化に伴い雇用不安が強まっていることを念頭に「自由化と政治的プロセスの健全なバランスが必要だ」などと指摘した。
IMFは、非効率な公共部門や政府による多額の補助金支払いがトルコの慢性的なインフレの背景になっているとみて、改革実行を求めている。だが、改革策の多くは国民には不人気だ。昨年2月に発生した通貨危機は首相と大統領の政治対立がきっかけだっただけに、経済改革への政治的支持を失えば再び市場の混乱を招きかねない。