赤字タレ流しの高速道路を整備する件で、小泉改革路線に全面的に反対し、その骨抜きを画策している抵抗勢力が、最近小泉政権支持を明言し始めたのは、どう考えても納得がいかない。
小泉首相の支持率が急落し、不支持率を下回る事態すら予想される現局面は、文字どおり構造改革の危機だ。支持率低下の最終的要因は、構造改革が遅々として進まないところにある。その構造改革の進行を妨げているのが抵抗勢力なんだから、自分たちで小泉首相の足を引っ張っておきながら、「一致して小泉政権を支える」なんて、よく言えたものだ。
抵抗勢力には、小泉首相のあとをやらせる玉がないと言われる。それが野党ならいざ知らず、与党の中心勢力が後継首相の候補者を持たないままで政権を掌握した時に、どんな政策を取るのか、その基本的構想が何もないというのは、無責任極まりない。そんな連中に日本の前途を託する選挙民がいるだろうか。
小泉首相は、抵抗勢力のこの弱みにつけこんで、道路整備計画の凍結を強行し、特殊法人廃止法案を次々に国会に提出するというなら、それも戦略の一つとして分からないでもないが、与党の事前審査制を廃止することもままならないようでは、一体何が構造改革の成果かね――ということになってしまう。
いま解散総選挙をやれば、自民党は惨敗する。それは目に見えている。主婦やタクシー運転手に至るまで、本当に怒っているではないか。小泉首相は、言うことを聞かない抵抗勢力に対し、解散するぞとの脅しを使えなくなった。そこを見透かして逆に「一致して支持する」と言うとは、抵抗勢力は選挙民を小ばかにしている。
これは抵抗勢力の背後にいて既得権を守り抜こうとする自治体の長や利益団体がけしからんということだ。これでは日本だけが世界の景気回復から取り残され、民族衰退の歴史が始まるのではないか。歴史的に深刻な局面に、いま日本は立っている。 (大三)