整理回収機構(RCC)が、経営再建中のダイア建設に対する約1400億円の債権すべてを、大幅に安い金額で米投資ファンドのサーベラスに売却する方針であることが28日、明らかになった。サーベラスはすでにダイア建設に資本参加しており、借金の圧縮で再建にはずみがつくことになるが、「事実上の税金による救済」との批判も噴出しそうだ。
ダイア建設は、メーンバンクだった旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の経営破綻に伴い、同行からグループで借り入れていた約1500億円強が、RCCに引き継がれた。
同社は一時、新規融資がストップするなど資金繰りに窮していたが、平成12年12月には、サーベラスがダイア建設の転換社債を引き受けるなどの形で資本参加。サーベラスは現在は6%の株式を保有しているが、数年内に筆頭株主(24%)となる予定で、外資主導で再建を進める方針が固まった。
サーベラスの傘下入りに伴い、翌年3月、ダイア建設がRCCに渡った借金を16年間かけて長期返済することが認められた。債権の早期回収を原則とするRCCの措置としては異例の優遇ともいえるものだが、それでも毎年90億円以上の返済の負担は重く、経営再建への大きな足かせとなっていた。
28日のNHKニュースによると、RCCは、残った1400億円の債権すべてをサーベラスに大幅に安い金額で売却することで合意したという。
これで、ダイア建設は事実上、借金を大幅に圧縮することができる。本業のマンション事業はこれまで黒字を続けており、財務体質が大幅に改善すれば、再建も加速。債権者がサーベラスに移ることで、“支配”は一段と強まるものの、背に腹は代えられないといったところか。
一方、RCCにとっては、事実上の債権放棄となる。その損失分は、最終的には国民の血税で穴埋めされるもので、形を変えた税金による民間企業の救済という見方もできる。もちろん企業が立ち直るのは結構なことだが、またもタフ・ネゴシエーターの外資にうまくやられたのではないか、との疑念も残る。