3月期末やイースター休暇を控え、商いが薄くなりやすい外為市場では、焦点がややぼやけてきたとの指摘もあるなか、新年度入り後の材料探しが続いている。4月以降の相場展開について、日米景況感格差からのドル買いや、年金による外債購入の積極化を見込む向きも多く、一段のドル高/円安を予想する声もある。しかし、3月末から4月初めという時期は、トレンドが転換しやすいタイミングでもあるとされていることから、いったん円安の流れに変化が出てくる可能性を指摘する関係者もある。4月2日に高値をつけた後、約2カ月で8円以上も下落する展開となった、昨年の記憶も残っており、その再現がみられるか注目する声も聞かれている。
市場では、新年度入り後は、日米景況感格差、日米金利格差、円キャリートレード、年金の外債投資観測−−などを背景に、一段のドル高/円安を見込む声もある。しかし、決め手にかける材料が見当たらないことから、具体的なドルの上値のメドとしては、135円がせいぜいとの見方が多く、一方的なドル買いを予想する関係者は少ない。逆に、これまで大きな材料となっていた“日本売り”シナリオが後退していることもあり、4−6月期にいったんドル高基調に調整が入る可能性を指摘する声も聞かれている。
過去の歴史を振り返れば、3月末から4月初めにかけては、相場がこれまでの流れの逆を行く確率も高いと指摘されており、新年度入り後に、昨年同様のドル下落を見込む関係者もある。
ある古参の外銀ディーラーは、過去のチャートを分析したうえで、「3月末から4月初めには、それまでのトレンドの逆を行く確率が非常に高い。5月まで入れるとなおさら確率が高いのだが、直近5年でみてもその傾向が明らかだ」としたうえで、「ドルの金利は多少上がってきており、金利差や景況感格差からはドルはサポートされやすいうえ、年金のドル買いも期待されており、新年度入り後にドル上昇を見込む向きも多い。しかし、ドルが135円を上抜けるほどの強い材料があるわけでもなく、いったん調整に入る可能性が高いとみている。今はたいして材料視していないようだが、きっかけとしてマクドナー発言が蒸し返される可能性がありそうだ」と述べる。
実際、昨年は4月2日に126.84円の高値をつけた後、5月4日には120.53円まで下落、さらに6月上旬には118円前半までドルが下落する動きとなり、“3月末から4月上旬転換説”を裏付ける格好になっていた。
また、ある邦銀のディーラーは、「景況感格差、金利差、円キャリートレード、日本売り、と過去十年やってきた話題で相場が動くのも、せいぜい1カ月だとみている。円売り相場が長続きすることはないとみていいだろう」と述べ、タイミング的には少し先になる可能性を指摘しながらも、先行きのドル下落の可能性を指摘する。
オニール米財務長官が、「マクドナーNY連銀総裁がドルに関する発言を後悔していると“思いたい”」との発言を行ったものの、マクドナー総裁が、ドルが“若干過大評価”されている可能性を指摘した発言を、重くみる関係者は少なくない。
前出の邦銀関係者は、「マクドナー総裁は、グリーンスパン議長に一番近い人物でもあり、基本的に余計なことは言わないはずだ。そこから考えれば、FEDの中での共通認識だから発言したと見ても過言ではないのではないか」と、先行き材料として蒸し返される可能性を否定しない。
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド・営業部長の花生浩介氏は、ファンダメンタルズの裏付けがある以上、ドルが大きく下落することはないとの見方を示しながらも、「相場の焦点がややボケてきていることや、“日本売り”シナリオがいったん後退していることから、135円を上回るドル高/円安も考えにくい。日本株の先行指標として、韓国株を始めとした東アジアの株式市場の動向に注目しているが、東アジアの株が全般的に堅調に推移しており、日本株に見直し買いが入る可能性もある。仮にそうなった場合には、やや円高に振れる可能性もあるだろう」と述べ、4−6月期は、130円〜135円のレンジ内で推移すると予想している。