金融政策の操作対象である日銀当座預金残高が急増している。来月からのペイオフ(預金の払戻保証額を元本一千万円とその利子までとする措置)解禁を控え、資金繰りに万全を期したい金融機関が確保した資金を積み上げているためだ。年度末の残高は過去最高だった2000年1月4日(23兆6000億円)を上回り、史上空前の水準に達する見込みだ。ただ、資金が経済に行き渡る状況にはなく、「効果は空回り」(銀行系証券)との見方が多い。
日銀は2月28日の政策委員会・金融政策決定会合で、年度末に向けた金融市場の安定を確保するため、天井を設けずに資金供給を強化する緩和措置を決定した。この結果、15兆円前後で推移していた当座預金は3月に入って徐々に増え始め、27日には20兆2900億円と2000年1月5日(23兆3000億円)以来の20兆円の大台乗せとなった。
市場では「ペイオフ解禁を目前に、金融機関の資金確保の動きは続く」(都銀)とし、年度内最後の営業日となる29日の当座預金は「30兆円に接近する」(同)との見方が有力。日銀でも「25兆〜30兆円レベルに達するだろう」(幹部)としており、金融市場の混乱で資金がひっ迫する事態は回避される公算が大きい。