27日午前の短期金融市場では資金の余剰感が一段と強まっている。日銀はペイオフ解禁を控えた期末の市場安定を維持するために潤沢な資金を市場に残しており、この日の当座預金残高は20兆円を超えた。市場では、期内の最終営業日となる29日も安定した取引が続くとみられている。
東京三菱銀行資金証券部のトレーダーは、資金の余剰感が日に日に強まっており、当座預金残高が20兆円を超えるような状況では期末の相場も波乱の起こりようがないと言う。期末日は資金を抱え込む向きも多いが、当座預金は27 兆円近くまで膨らむ見通しで、調達需要もあまり出てこないだろうと予想する。
日銀は、午前9時20分の定例金融調節を55営業日連続で見送った。この結果、当座預金残高は前日比1兆2400億円増加の20兆2000億円と、昨年3月に量的緩和が始まって以来の最高水準を引き続き更新した。
日銀は2月28日の金融政策決定会合で当座預金残高の上限を撤廃し、期末には20兆円を超える見通しを示していた。
無担保コール翌日物やトムネ物は0.001%で取引されており、引き続き一部の邦銀や外銀の調達が見られる。ただ、午後に入ると大量の運用希望が余る展開が続いており、期末が近付いても調達需要が増加する様子は見られない。
期末を越える1週間物から1カ月物の調達希望は0.01%まで低下しているが、都銀は4月の期日到来に備えて期間が長めの資金需要が比較的強い。
期末・期初の翌日物(3月29日−4月1日)の調達希望は0.001%と通常の翌日物と同じ水準で、期末越えのプレミアム(上乗せ金利)は完全にはく落している。ただ、積極的な運用も見られず、余剰資金を抱えたまま期末を越える方針をすでに決めている金融機関も多いと指摘されている。
決算期末日となる29日には国が民間に公共事業費などを支払うため、当座預金残高は27兆円近辺まで大幅に拡大される見通しだ。このため同日の調達需要はあまり出てきそうにない。海外市場が休場の理由もあって、外銀は前倒しで資金手当てを進めている。