投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
東京都が、大手銀行を対象に新たに創設した外形標準課税（銀行税）をめぐる判決が、２６日東京地方裁判所で下され、東京都側が実質的に“全面敗訴”となった。今後の東京都の財政運営に影響が出てくるものと懸念する声も一部で聞かれているが、格付けへのマイナスの影響は限定的だとして、東京都債の対国債スプレッドが大きく拡大する展開にはならないとの見方が示されている。その一方で、東京都同様、銀行税の徴収を予定している大阪府債のスプレッドが、小幅に拡大したとの指摘もあり、今後の大阪府債の利回りに注目する声が聞かれている。
東京地裁は、東京都に対して、課税取り消しと初年度納付分の約７２４億円の返還、さらに総額約１８億円の賠償支払いを命じる判決を出した。
この判決を受けて、市場では、東京都の財政運営に影響が出ると懸念する声も聞かれている。
ＵＦＪキャピタルマーケッツ証券・シニアマーケットアナリストの浜田浩史氏は、「東京都の財政は、２００１年度予算ベースで約２８００億円の財政赤字（歳出と比べた歳入の不足額）が発生すれば、“財政再建団体”への転落を余儀なくされる状態にある」と指摘する。
今後、１年あたり１０００億円以上の税の返還と、将来の徴収停止が決定した場合、歳入不足の拡大が、東京都の財政運営に与える影響はかなり大きいとの見方を示す関係者は少なくない。
しかし、ニュースが伝えられた市場でも、「東京都債に目立った売り物はなく、どちらかと言えば閑散とした取引だった」（国内証券）というように、東京都債のスプレッドが大きく拡大するとみる関係者は少ない。
あさひ東京投信・投信運用部長の原頼信氏は、「今回の判決による税収見込み減は１．６％程度であり、既存払込み分の返還も１年分であることから、東京都の格付へのマイナスの影響は限定的だ」と述べる。
原氏は、現在Ｒ＆Ｉの格付で、ポジティブとなっているアウトルックに影響がある程度ではないか、と予想している。
また、ＵＦＪキャピタルマーケッツ証券の浜田氏は、“財政再建団体”へ転落する可能性を懸念し、「“再建団体”は企業でいえば倒産にあたるとのイメージが債券市場に広がる」としながらも、「都側は控訴する方針のうえ、税の徴収も続ける模様だ。銀行側が徴税に応じるかどうかはまだ不透明だが、税の返還や徴収中止が確定するには、もう少し時間がかかりそうだ。さらに、都財政は、財源対策を講じなければ起債制限に抵触する状態だが、歳出の削減や歳入の確保策次第で、財政再建団体を回避する余地は残っているとみられる」と述べ、短期的には、東京都債のスプレッドに与える影響は軽微だと指摘する。
一方、市場では、大阪府債のスプレッドが小幅に拡大したというが、東京都同様、銀行税の徴収を予定している大阪府のスプレッド動向を気にかける関係者もいる。
あさひ東京投信の原氏は、「大阪府も２００２年度から銀行税の徴収を予定、５年間で１５００億円の税収を見込んでいる。しかし、大阪府は東京都と違い、国から交付税を受け取っているため、銀行税収の８割（１２００億円）の交付税が減額されるため、実際に増える財源増は３００億円であり、これ自体はそれほど問題とならない」としたうえで、「今後、銀行税を徴収し続けた後に、裁判で負けた場合、一度に１千数百億円の返還を迫られる可能性がある」と述べ、現在でも財政問題に対する不透明性が指摘され、流通利回りが比較的高い大阪府債の利回り推移が注目される、との見方を示している。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。