速水日銀総裁は、現時点で体力面で問題がある金融機関があるとは認識していない、と述べた。
会見で述べたもの。
景気の現状について、速水総裁は、「輸出や在庫面からの下押し圧力は弱まりつつあるが、全体としてはなお悪化を続けている。前月に比
べて、判断を幾分上方修正した」と述べた。設備投資や個人消費など、国内最終需要は弱めの動きが続いているほか、家計や雇用など所
得環境も厳しさを増している。一方、海外経済の回復に向けた動きが一段とはっきりしてきており、これを受けて、日本の輸出も下げ止まり
つつある。また、国内在庫調整も一段と進み、生産の減少テンポもかなり緩やかになってきているという。
先行きについて、総裁は、「輸出の回復に伴って、生産が下げ止まるにつれ、景気悪化テンポも次第に和らいでいくと予想される。しかし、
景気のぜい弱な地合いは引き続きあり、内外の金融資本市場の動きが実体経済に悪影響を及ぼすようなリスクには、引き続き留意してい
く必要がある」と語った。
金融システムの現状や危機再燃の可能性について、総裁は、「ひところに比べて株価が上昇し、金融システムに対する見方が幾分緩和し
た面もあるが、基本的には引き続き厳しいと受け止めて良いと思う」と述べ、この背景については、不良債権問題があると指摘した。
そのうえで、「金融機関で毎年多額の不良債権処理が行われているにもかかわらず、地価下落や景気低迷や構造問題の深刻化があり、
新規に不良債権が発生している。金融システムにとっては、不良債権問題の克服が、依然として最大かつ喫緊の課題だ。ペイオフ解禁を
控え、不良債権処理を迅速かつ適切に行って、内外市場からの信認回復に努めることが、金融システム全体の安定確保するうえで、非常
に重要なことだ」と述べた。
3月期末の状況については、「まだ、はっきりとしたことは言えない」としながらも、「ここまで、何とか来れたのは良かったと思う」と述べた。