財務省は、不祥事で営業停止などの処分を受けている証券会社を、国債入札に限っては参加させる方向で金融庁と協議を始めることを明らかにした。国債の大量発行が続くなか、入札への参加者を少しでも多くして、安定消化につなげたい事情が背景にある。しかし、不祥事を起こした建設業者に公共事業の入札停止などの処分をしているのに比べ、甘いとの指摘が出るのは確実だ。
これまで財務省は、金融庁から営業停止などの処分を受けた金融機関などについて、処分期間中に実施される入札から締め出してきた。「入札に参加できるのは、適当と認められた社に限る」との国債入札からの除外規定が根拠だ。
今年に入り、空売り規制に違反して金融庁から処分を受けた証券会社が締め出された例が2件ある。昨年は8件の除外があり、過去には総会屋に利益供与した銀行が除外された例もある。
除外措置の見直しは、財務省が学識経験者や金融機関と意見交換する国債市場懇談会で、学識経験者側から提案された。「株式と国債の市場の関連は薄く、国債の安定消化を優先すべきだ」というのが理由で、フランスやドイツでは同様の措置が撤廃されている、という。
ただ、厳しい処分が不祥事の防止につながる、という考え方があるのも事実で、財務省は「結論までは慎重に検討したい」としている。(07:26)