ダイエー<8263>専務で営業の総責任者である平山敞氏が久々にマスコミの前に姿を現した。平山氏といえば、九州地盤のスーパー、ニコニコ堂<7424>の会長に就任している一方、トリアス久山というショッピングセンターの運営会社にも関係、本業のダイエー以外の企業にも役職を持つ。そのため、営業力の回復がダイエー再建のカギを握るといわれるなか「複数の企業に首を突っ込んで本当にダイエーの再建に身が入るのか」と指摘されていたが、こうした指摘を打ち消すかのように3月20日、ダイエーの東京・碑文谷店に姿をみせた。一時は営業が好転しないことなどの責任を取り、辞表を出したとか、辞職するのではないかという観測も出た平山氏だったが、一応、ダイエーの営業責任者として続投することを改めて強調した形。ダイエーの再建については2003年2月期が正念場といわれるだけに、今後、平山専務が営業力をいかに立て直すか―がダイエーの方向性を決めることになりそうだ。
●PB“セービング”と食料品に的
平山専務は食品部門のプライベートブランド(PB)である「セービング」のリニューアルに合わせ、一部顧客にこの商品を無料配布するというパフォーマンスを店頭で展開し、この後記者会見した。会見では「既存店の建て直し」が、再建で一番の焦点になっているだけに、質問もそれに集中した。
平山専務は食品部門の低価格化で集客力を強化し、今期既存店売上高の前年比を100%まで引き上げる方針を示した。具体的な施策としては食品部門粗利益率を意図的に0.5%落として、ナショナルブランドを2〜3割値引した商品を「生活応援特価」として200品目程度展開するほか、現在333品目あるPB「セービング」のうち、200品目を洗い直し、品質を向上させた上で価格を引き下げる。さらに総品目数を500品目まで増やして売上高を現在の415億円から500億円まで引き上げるプランなどを明らかにした。平山専務は「ダイエーの食品売上高は全体の50%あり、食品の客数がいかに増やすが課題。これが増えない再建もあり得ない」と話す。
●「特効薬はない」・・・歯切れの悪さも折り込み済み?
ダイエーは昨年の希望退職の募集に続いて本体で1400人の希望退職者を募集しているが、士気の低下を招き兼ねないのでは―との質問には「やりきるしかない」ことを強調。さすがにダイエー再建のアキレス腱になりかねないだけに「人・モノ・金が十分にあって経営している会社は少ない。特効薬はない」などと歯切れも悪かった。また、かねてから噂されている「高木邦夫社長との不仲説」についての質問には「高木さんとはいつもアイコンタクトしているし、携帯電話の電子メールでやり取りしている」と不仲説を否定した。
ダイエーは2003年2月期に単独経常利益で200億円の目標を設定しているが、これについては「100%自信ありますよ」と意欲を示した。平山専務のその意欲が結果として来春、業績に表すことができるのか。ダイエーからは目が離せない状態が続く。
(山科 静)